セキュリテ解説 2025年12月19日 10:30

【解説記事】「ふるさと投資」と「ふるさと納税」は何が違う?共感で地域を応援する新しい選択肢

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1. はじめに-そもそも「ふるさと投資」とは?

1-1. 地域を応援する手段は「納税」だけじゃない?
近年、インターネットを介した資金調達の仕組みである「クラウドファンディング」が広く普及し、さまざまなプロジェクトの実現を支援しています。その中で、「ふるさと投資」は、単なる資金集めの手段としてだけでなく、地域や事業のファンを増やす効果も期待される、地域活性化に資する有効な手段として認識されています。
「ふるさと投資」が特に注目を集めるきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災からの復旧・復興事業において、クラウドファンディングを活用した多様な先進的な取り組みがなされたことです。その後、2014年10月には、地方公共団体や地域金融機関、仲介事業者などを構成員とする「ふるさと投資」連絡会議が設立され、その普及・促進が図られています。この動きは国の政策にも影響を与え、「日本再興戦略」や「まち・ひと・しごと創生総合戦略」でもクラウドファンディングを活用した資金調達の多様化や「ふるさと投資」の推進が言及されています。

1-2. 本記事の目的と情報の取扱いについて
本記事では、「ふるさと投資」と「ふるさと納税」という二つの地域応援の仕組みについて、その違いを明確にするとともに、それぞれの仕組みや目的、地域との関わり方について深く理解することを目的とします。これにより、読者の皆さまがご自身の価値観に合った地域応援のスタイルを見つける一助となれば幸いです。

 

2. 基本情報|ふるさと納税とふるさと投資の仕組み

2-1. ふるさと納税とは?税制優遇と返礼品の仕組み
「ふるさと納税」は、納税者が任意の地方公共団体に寄付を行うと、寄付額に応じて税金が控除され、返礼品を受け取れる制度です。この制度は2007年に総務大臣の問題提起から始まり、都市から地方への資金の流れを生み出すことを目指しています。
具体的には、寄付金のうち2,000円を超える部分について、個人の所得税と住民税から控除・還付されます。控除される金額には所得に応じた上限があり、多くの場合、寄付者は地元産品などの返礼品を受け取ることができます。

2-2. ふるさと投資とは?共感で応援する新しい地域参加のかたち
「ふるさと投資」とは、地域資源の活用やブランド化など、地方創生等の地域活性化に資する様々な事業を支えるクラウドファンディング等の手法を用いた小口投資を指します。そして、これは、地域の地方公共団体等の活動と調和が図られるものです。
「ふるさと投資」は、ITの普及により、都市から地方への新しいお金の流れを実現し、単なる資金調達の手段にとどまらず、事業への共感を通じてファン(顧客)を獲得することを期待します。個人投資家は、資金運用だけでなく、その事業や地域に関心を持つ効果も期待でき、地域と都市が繋がることで、地域経済の活性化という好循環を生み出します。
例えば、ミュージックセキュリティーズ株式会社が運営する事業投資型クラウドファンディングプラットフォーム「セキュリテ」が扱う「ふるさと投資」は、事業者と出資者をファンドで結び、事業、絆、社会の成長を目指しています。投資家は、以下のような「3つのリターン」を得ることができます:
  • 分配金: ファンド対象事業の売上に応じて、原則、年に1回分配金が支払われます。これは現金として出金することも、再出資に利用することも可能です。
  • 出資者特典: 出資額に応じて、事業で作られた商品や非売品、利用券や割引券、イベントへの招待など、個性豊かな特典が提供されることが一般的です。
  • ソーシャルリターン: 事業が生み出す雇用、福祉、環境などの付加価値を通じて、身近な地域の課題から社会問題まで、社会課題の解決に貢献します。これにより、「誰かを応援したい」という気持ちを満たす精神的な充足感も得られます。
過去には、飲食店や酒蔵のファンド組成皮切りに、地域活性化に資する事業への支援を拡大し、東日本大震災直後には寄付を組み込んだ「被災地応援ファンド」を立ち上げています。具体的な活用事例としては、旅館の改修、特産品の商品化、再生可能エネルギーの事業化、飲食店の開業などが挙げられます。

<セキュリテのふるさと投資の仕組み>
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2-3. 仕組み・目的・関わり方の違い
項目 ふるさと納税 ふるさと投資
主な目的 税金の控除・還付を受けつつ、任意の地方公共団体を支援し、返礼品を受け取る。
 
共感する事業やプロジェクトを直接支援し、リターンを受け取りながら、地域活性化や社会課題解決に貢献する。
 
資金提供の形式 地方公共団体への「寄付」。 クラウドファンディングの手法を用いた「小口投資」。
 
期待するリターン 税制優遇 (税金控除・還付) と、寄付先の特産品などの「返礼品」。 金銭的リターン: 事業収益に応じた「分配金」。
非金銭的リターン: 出資者特典 (商品、サービス、イベント招待、割引など)、事業を通じた学びや成長、精神的充足感。
社会的リターン: 事業が生み出す雇用・福祉・環境などの社会的な付加価値。
 
法的規制 税法が適用される。 金融商品取引法等の適用を受ける。第二種金融商品取引業者等の登録が必要。

 
地域との関わり方 主にウェブサイトを通じて寄付先を選び、返礼品を受け取る間接的な関わり。 事業者と直接コミュニケーションを取り、イベント参加や現地訪問などを通じて「顔の見える」関係を築くことが可能。地域課題の解決に直接貢献する「当事者」意識が芽生える。
リスク 寄付金控除の上限額を超過した場合の自己負担、返礼品の品質や配送に関する不満など。
 
元本割れのリスク。事業の失敗や不振、流動性の低さ。
 
 
 

3. メリット・注意点の整理

3-1. ふるさと納税の主なメリット・留意点
メリット:
  • 税制優遇の享受: 寄付金額に応じて所得税や住民税が控除・還付されるため、実質的な自己負担額を抑えながら地域に貢献できます。
  • 魅力的な返礼品: 寄付先の自治体から、その地域の特産品やサービスなど、多様な返礼品を受け取ることができます。これは、その地域の魅力を知るきっかけにもなります。
  • 手軽な参加: インターネットを通じた手続きが簡素化されており、多くの人が気軽に寄付に参加できます。

留意点:
  • 控除額の上限: 寄付金額すべてが控除されるわけではなく、所得や家族構成に応じた上限額があります。上限を超えた寄付は自己負担となります。
  • 返礼品競争の問題: 制度の趣旨とは異なる過度な返礼品競争が問題視されることがあり、本来の地域貢献という目的が薄れる可能性が指摘されることもあります。
  • 間接的な関わり: 資金提供先は地方公共団体であり、個別の事業や社会課題に直接的に関わる機会は限定的です。

3-2. ふるさと投資の主なメリット・留意点
メリット:
  • 共感に基づいた直接支援: 自分が「応援したい」と強く共感する特定の事業やプロジェクトに対して、直接的に資金を投じることができます。これにより、自分の資金がどのように役立っているかを実感しやすく、精神的な充足感を得られます。
  • 非金銭的リターンと学び: 金銭的リターンに加え、事業者との交流イベント参加、非売品の特典など、多様な非金銭的リターンが得られることがあります。これらは、投資家自身の学びや成長、新たなコミュニティの発見につながることもあります。
  • 地域活性化への貢献: 資金が直接、地域の事業者やプロジェクトに供給されることで、雇用創出、事業の発展に貢献し、地域経済の活性化を促進します。都市住民の資金が地方に流れる「地産外消型」だけでなく、地域住民が地域内の事業を支援する「地産地消型」の取り組みも期待されます。
  • 事業者のモチベーション向上とファン形成: 資金調達者である事業者にとっては、単なる資金だけでなく、「応援団」の存在がモチベーションの維持・向上につながります。また、資金提供者がファンとなることで、販路拡大やマーケティングにも寄与します。



留意点:
  • 元本割れのリスク: ふるさと投資は、事業の成績とリターンが連動するため、事業が不振に陥ったり失敗したりすると、出資金の元本を割る、あるいは全く分配されないリスクがあります。
  • 流動性の低さ: 投資した資金を途中で現金化することは困難です。
  • 情報開示のリスク: プロジェクトの進捗などに関する情報開示が不十分な場合、事業の状況が分からないリスクがあります。



3-3. ふるさと支援の“仕組み”と“関わり方”の違い
「ふるさと納税」が主に税制優遇と返礼品を通じた間接的な地域支援であるのに対し、「ふるさと投資」は、特定の事業や社会課題に「共感」し、資金提供を通じてその実現に直接的に関わることを重視します。
ふるさと投資における地域との関わり方は多様で、地方公共団体や地域金融機関が、プロジェクトの発掘に留まらず、事業計画の策定支援、広報支援、プラットフォームの運営など、積極的に関与する事例も増えています。この「顔の見える」関係性の中で、資金提供者は単なる支援者以上の「仲間」としての意識を持ち、事業者も「健全な負債感」を抱き、活動のエネルギーとすることができます。

 

4. まとめ|目的に応じて“地域との関わり方”を選ぼう

4-1. ふるさと納税とふるさと投資、それぞれの役割と価値
「ふるさと納税」と「ふるさと投資」は、どちらも地域を応援する有効な手段ですが、それぞれ異なる役割と価値を持っています。
  • ふるさと納税: 主に税制メリットを享受しながら、間接的に地方自治体の財政を支援し、返礼品を通じて地域の魅力を体験したい方に向いています。
  • ふるさと投資: 金銭的リターンに加え、非金銭的・社会的リターンを重視し、共感する地域の事業や社会課題の解決に、より直接的かつ深く関わりたい方にとって、魅力的な選択肢となります。

4-2. 地域を応援する手段は一つではない
地域を応援する方法は一つではありません。ご自身の「共感」の対象、期待するリターン、関わりたい度合い、そして許容できるリスクの範囲に応じて、最適な応援のスタイルを選ぶことが重要です。
まずは、クラウドファンディングのプラットフォームを訪れて、様々なプロジェクトのストーリーを読んでみてください。その一歩が、誰かの夢や地域の未来を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

 

5.よくある質問(FAQ)

Q1. ふるさと納税とふるさと投資の違いは何ですか?
A. 「ふるさと納税」は、主に税制上の優遇措置を受けながら、地方自治体へ寄付を行い、返礼品を受け取る制度です。一方、「ふるさと投資」は、クラウドファンディングなどの手法を用いて、特定の地域の事業やプロジェクトに直接資金を提供する「小口投資」の仕組みです。ふるさと投資では、金銭的リターンに加え、出資者特典や社会貢献といった非金銭的・社会的リターンも期待できます。

Q2. ふるさと投資にはどんなリスクがありますか?
A. ふるさと投資には、主に事業の失敗や不振による「元本割れ」のリスクがあります。これは、投資対象事業の業績に分配金が連動するためです。また、事業が計画通りに実行されない、資金が適切に使われない、あるいは詐欺や反社会的勢力の活動に利用されるといったリスクもゼロではありません。セキュリテでは、営業者及び事業計画の審査や資金使途の監査などを行うことで、これらのリスクの低減に努めています。

Q3. ふるさと投資は税制優遇の対象になりますか?
A. 一般的に、ふるさと投資は「投資」であるため、ふるさと納税のような直接的な税制優遇(寄付金控除)の対象にはなりません

Q4. ふるさと投資を始めるにはどうすればいいですか?
A. ふるさと投資を始めるには、まずセキュリテのようなクラウドファンディングプラットフォームに「会員登録」をする必要があります。登録後、プラットフォーム上で募集されている様々なファンドを閲覧し、内容や期待されるリターン、リスクなどを確認します。共感するファンドが見つかったら、出資金額を決めて申し込みを行います。匿名組合契約などの契約内容をよく理解することが大切です。また、事業者が開催するリアルやオンラインのイベントに参加して、直接話を聞く機会も活用できます。

<セキュリテの過去のふるさと投資の例>
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6.参照リンク一覧

■ ふるさと納税関連
総務省|ふるさと納税ポータルサイト
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html

国税庁|寄附金控除(ふるさと納税)について
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm

■ ふるさと投資・投資型クラウドファンディング関連
「ふるさと投資」連絡会議
https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/furusato/kaigi/index.html

「ふるさと投資」の手引き(2015年5月)
https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/furusato/kaigi/tebiki_honnpen.pdf
 
 一般社団法人第二種金融商品取引業協会
 https://www.t2fifa.or.jp/investors/financial-products/crowdfunding/


 



※ 「セキュリテ」の仕組みについては、こちらからご確認ください。
※ セキュリテで募集中のファンドは、こちらのファンド一覧からご覧いただけます。


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