マイクロファイナンス

動画コレクション2011年6月30日 16:01

スタディツアー報告 vol.9:カンボジアというレンズ

小谷瑠以

3月20日から一週間、――私はカンボジアに行っていました。

楽しみにしていたカンボジア・マイクロファイナンス・スタディーツアー。勉強の要素が強い内容とはいえ、仕事の出張でもなく、完全にプライベートな旅行。そして東日本震災から僅か9日目という微妙な時期の出発でした。

自分の国がたいへんなことになっているのに、しかも、原発からの放射線漏れの影響で首都圏も混乱している時期に、のんきに旅行に行ってしまってもいいのか…、家族や同僚・友達を残して10日間も東京を留守にしていいのだろうか…、現実逃避・国外逃亡と後ろ指をさされる行動じゃないのか…、うしろめたさや漠然とした不安を抱え、色々な疑問が脳裏をよぎりました。

しかし、震災対応に自分が直接必要とされる立場にはいなかったこと、そして、この時期にカンボジアに行くことは、それはそれで何か意味があるような気がして、予定通り参加することを決意しました。

そして、やっぱり行ってよかったと思います。

「世界は繋がっている」こと、そして「一つのモノを色々な視点や角度から見ることの大切さ」を改めて実感できた旅だったからです。

日本にいると分からないものですが、カンボジアの人々が日本と被災地の方々を心から心配してくださっていることがよく伝わってきました。

まず、現地ガイドのソチアさん。夕方シェムリアップに到着した私たちを空港まで迎えに来てくれる前まで、朝からずっと街頭に立ち、義援金集めや被災者への寄せ書きの翻訳作業をしてくださっていたそうです。

自分と同世代のカンボジア人の方が、到着早々、いかに日本を・日本人を大事に想っているか、いかに被災地と被災者の方々を心配しているかを、真っ直ぐ真剣な目で一生懸命伝えようとしてくれるのです。「日本は強い国だから、心を強く持って」と。心動かさずにはいられませんでした。

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(笑顔が最高のソチアさん)

また、会う人会う人、グッと力強い目で応援エールを送ってくれるのです。

ウルフルズのトータス松本さんが「日本は強い国っ!」と言っているACのテレビCMが震災後しばらく流れていましたが、あの通り海外の方たちは「日本=強い国というイメージを持っているんだ」と知って、正直なところびっくりしたというか、とても新鮮に感じました。

他方、「よその国のことなのに、なんでこんなに親身になって一緒に泣いたり笑ったりしてくれるのだろう?」と、不思議に思ったものです。でもそれはもしかすると、島国特有の視点なのかもしれません。

大陸に位置するカンボジアから見た日本は同じアジアにあり、アンコールワットに観光客として来てくれるマナーの良いお客さんであり、UNTACによる統治後アンコールワットの修復も含めた開発の取組みに手を差し伸べてくれた友人・恩人という、ごく身近な存在なのでしょう。そして、前述の通り、敗戦後焼け野原から僅か二十年程で世界第二位の経済大国に成長した「力強い」憧れの国でもある訳です。

三十数年程前のポル・ポト政権による飢餓、大虐殺等の後遺症に未だ苦しむカンボジア。医者、教師、学者等、学や技術ある者はことごとく殺されたせいで、中高年が圧倒的に少なく、未成年・若者に大幅に偏った人口構成。何と総人口の約7割が30歳未満という。総人口の約90%が農村部で自給自足の生活を営んでいるその経済規模は、私の父の実家のある鳥取県(日本一人口の少ない県)の約半分しかないと聞きました。

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(借り手訪問の際に出会った子どもたち)

この苛酷な状況は、(人口構成は真逆とはいえ)被災地とどことなく重なるものがあるように思います。だからこそカンボジアの方々は、ブラウン管やインターネットを通じて見る被災地の方々に共感し、想いを重ねることができるのかもしれません。

そして、そんな厳しい環境で生まれ育ちながらも、羨ましいほど力強く輝いている同世代と出逢えたことが、私にとってこのツアーで得られた一番の収穫でした。

「将来は、①イベント(ウェディング、会議など)、②メディア、③輸出、④輸入の4つのビジネスを展開したい」と将来の目標を語ってくれたセンムンさん。「マイクロファイナンスは今後成長する分野だと思うし、何よりファイナンス業界の全体が見えるから」とキャリアの選択について話してくれたパニーさん。

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(マイクロファイナンス機関で、センムンさんとパニーさんから説明を受けているところ)

スタディーツアー中、仲良くなったマイクロファイナンス機関の若き幹部たちは、おちゃらけた話やぶっちゃけた恋愛話もできる同世代の友達であると同時に、有能で自分にはない活力やスピード感を持ち、向上心とエネルギーに満ち溢れた、とても眩しい存在でした。

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(パニーさん(右奥)は、写真の3名を含む5名の部下を持つ)

この二人は働きながらMBAを取得したりもしていますし、前述のガイドのソチアさんも、プロフェッショナルとしてのスキルを更に磨くべく、日々、観光や言語の勉強を続けているそうで、その勤勉さとひたむきさにとにかく圧倒されっぱなしでした。正直なところ、彼らとカンボジアという国を羨ましく思います。今の日本に必要なのは、ソチアさん・センムンさん・パニーさんのようなハングリー精神をプラスのエネルギーに変換できる人財と、彼らのような若者の成長と協働を促進する環境なのだろうと。

日本や日本人が持っているもの・持っていないもの、私たちの先人が成し得たこと・だからこそ私たちもきっと出来ること――カンボジアというレンズを通して日本を見ることで、貴重な視点や気付きをたくさん得ることができました。

そして、カンボジアの求心力となる同世代の仲間と出会うことで触発される私たち。世界は本当に繋がっていることを実感しました。

20年後、カンボジアの友達が、「あの大震災を機により発展して、やっぱり日本は強い国だよね。自分たちの国も大きく成長したけれど、やっぱり日本は憧れの国であり続けるな。」と言ってくれるような、そんな国をみんなで創っていきたいな、と思います。

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(センムンさん(中央)やツアーの仲間と集合写真)


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カンボジアのスタッフの向上心と情熱を持って働く姿がとてもよく伝わってきます。

小谷さん、
素敵な文章をどうも有難うございました!




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動画コレクション2011年6月8日 20:27

投資家特典についてのアンケート結果

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動画コレクション2011年6月3日 11:23

エン・ポブさんの話

マイクロファイナンスファンド「カンボジア3」の営業者セイラニティの顧客、
エン・ポブさんの事例です。


(下記の画像をクリックするとPDFでご覧いただけます。)

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動画コレクション2011年5月18日 10:22

モニタリングレポートの一部を公開します!


以前ご紹介したように、「マイクロファイナンス貧困削減投資ファンド」では、特定非営利活動法人Living in Peace (LIP) により、投資先のモニタリングが行われ、投資家には毎月モニタリングレポートをお送りしています。


今回より、このモニタリングレポートのうち、「顧客のストーリー」のページについては、皆様に広くご紹介していくことにしました。マイクロファイナンスを利用し、活き活きとビジネスを行う顧客の様子をお伝えできればと思います。

今月からしばらくは、投資家特典の一つとして3月に行われたスタディーツアーで、直接お話を伺ったサミックの顧客の方々も紹介していきます。ツアーに参加された出資者の方にもレポートの作成にご協力いただきました。有難うございました!

(下記の画像をクリックするとPDFでご覧いただけます。)

samic-borrower-2011

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動画コレクション2011年5月17日 19:56

スタディツアー報告 vol.8:カンボジアの前向きなエネルギー

ミュージックセキュリティーズの杉山です。
本日は「カンボジアONE」の出資者久米さんの体験記をご紹介します。
久米さんは最も古い投資家の1人になりますが、今回のスタディツアーにも一番早くお申込頂き、
東京で開催した説明会にもわざわざお越しいただいたのがとても印象に残っています。

今回のスタディツアーをきっかけに、今では久米さんの地元での、
マイクロファイナンスに関する講演会を企画していただくなど、嬉しいつながりが生まれています。
これからもどうぞ宜しくお願いします。


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カンボジア・マイクロファイナンススタディーツアー体験記

microfinance study tour2 kume

我が久米家のルーツはクメール(カンボジア)である、という話は冗談ではなく、なぜか昔から我が家で信じられてきたので、カンボジアには何か不思議な縁を感じていました。
社会起業に興味を持つようになってから、たまたま新聞の記事で見つけた「カンボジアONE」への投資をきっかけに、この素敵なスタディツアーと参加者の皆さん、そしてカンボジアで様々な方に出会えたことは、本当に嬉しく、ツアーから1か月が経った今も、あの濃密な1週間のことを懐かしく思い出しています。
最初は参加者もなかなか集まらず、やっと催行が決まったと思ったら、出発1週間前に東日本大震災が発生。日本中が大混乱の中で、このツアーも中止になるのではないか、またこんな時期に海外旅行に出かけてもいいのか・・・ツアーを手配して下さったHISの木村さんから予定通り催行の旨の連絡を受けても心配は尽きませんでしたが、せっかくの機会であり覚悟を決めて参加することにして、今は本当によかったと思っています。

初めての途上国訪問だったのに加えて、全く金融に詳しくない私にとって、今回のツアーで衝撃的だったのは、実はマイクロファイナンス自体よりも、現地の方の生活環境、そして生の声でした。
「アンコールワットを見学できたなんて、あなたはラッキーですね。」
旅の後半で訪れた、カエプのホテルでお話した従業員の方のこの一言が、今でも忘れられません。
「カンボジアONE」の投資先であり、今回私たちが最初に訪れたシェムリアップの街は、アンコール遺跡群の玄関口として世界中から毎年多くの観光客が訪れる、日本で言えば京都のような場所です。京都なら、日本の学校に通っていれば一度は必ず修学旅行等で訪れるでしょうし、日本にいれば思い立った時にいつでも訪れることができます。
しかし、ポル・ポト政権時代や内戦の傷跡が未だに残るカンボジアは、全く事情が違いました。たとえ国内であっても、交通インフラも整わない、また旅行に行くお金もない状況で、シェムリアップから遠く離れたカエプの方にとっては、見たいと思ってもアンコールワットは遠く、写真で見るだけの存在だったのです。外国人の私たちはとても気軽にアンコールワットを見学できたけれども、この貴重な遺跡を現地の方が見に行くのがどれほど大変か、自分がどれだけ恵まれた立場にいるのか、改めて思い知らされた一言でした。
それでも、学業の傍らホテルで働く彼が「大学を出たら国際機関で働きたいんです」と語ってくれた言葉は、心強く感じました。また、日本の震災についても本当に心配をして下さいました(これはカンボジアで出会った皆さん同じでした。カンボジアでも多くの義援金が集まったそうです)。

microfinance study tour2 kume2

カンボジアに来るまでは、マイクロファイナンスについては「融資を通じて貧しい人にチャンスを与える」という、どちらかというと援助に近いような、上から目線で考えていたのですが、実際に借り手の方を訪問して直接お話を伺っていくうちに、それはちょっと違うのかもしれない、と思うようになりました。
ツアー中に訪問した借り手の皆さんは、工芸品製造の方も雑貨屋さんも農家の方々も、皆さんビジネスの拡大を目標に、もっと良い暮らしをしたい、子供たちに良い教育を受けさせたい、と家族のためにマイクロファイナンスを活用し、事業を運営しておられました。
実際に私たちが現地で見聞したことは、現実のごく一部でしかありませんし、誤解もあるかもしれません。しかし、たとえ電気や水道のない、私たちから見れば不便な暮らしでも、「貧しい」という悲壮感は全く感じませんでした。借り手の皆さんはとても明るく前向きで、幸せそうで、思っていたよりもずっと自立していました。この前向きなエネルギーがあれば、カンボジアはこれからもきっと成長していけると思います。「カンボジアONE」を通じて現地に届けられたお金は、とても有効に使われていることを実感できました。
カンボジアでたくさんの刺激を受けた今、日本にいる自分に何ができるのか、改めて考えているところです。このツアーから、何か次のアクションにつなげられたらと思います。

今回は投資家特典ということで、マイクロファイナンスについてもろくに勉強しないまま、完全にお客様気分で参加してしまったことは個人的には反省点ですが、知識豊富な参加者の皆さんに助けられて、私でも理解を深めることができたと思います。観光旅行では味わえない、このツアーでなければ体験できないことがたくさんありました。投資家の皆さんには是非一度、この体験をしていただきたいと思いますし、私もまたいつか、成長したカンボジアを見に行きたいです。
最後に、今回のツアーを企画いただいたLIPの皆さん、いろいろな相談に乗って下さったHIS木村さんと、現地で細やかな気配りをして下さった日本語ガイドのソチアさん、ツアー参加者の皆さん、現地で忙しい中時間を取って下さったサミックの職員の皆さんや借り手の皆さん、カンボジアで出会ったすべての皆さんに、お礼申し上げます。

久米 明子

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動画コレクション2011年5月7日 10:31

スタディツアー報告 vol.7:自分が投じたお金が海を越えて

ミュージックセキュリティーズの杉山です。今回は、第2回のスタディツアーに参加された投資家の宮寺さんの感想をご紹介します。

「マイクロファイナンスが現地の人の可能性を切り開いていく現場に、投資家として立ち会えたことで、この旅での自分の目標は達成できたと思っています。」


こう言っていただけるとツアーを企画した甲斐が本当にありました。宮寺さんは、このツアーのあと、LIPの活動にもご興味をお持ちになり、今度ミーティングにも見学にいらっしゃるそうです。「投資」がきっかけになり、現場に足を運んでいただいたり、こうして一緒に活動する仲間が増えるのは、とても嬉しいことです。


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マイクロファイナンス・スタディツアーに参加して

StudyTour2-Miyadera

自分が応援したいと思ったところに自分のお金を投資して、そこでのお金の使われ方を実感として知ることができる。そんな投資の醍醐味ともいうべき実感を味わいたくて、マイクロファイナンスファンドに投資しました。

少額ではあれど自分が投じたお金が海を越えたところで何かしらの生産活動を助け、人々の生活が充実して、一つの経済が循環していく。そんなダイナミズムを生で味わいたくて、カンボジアスタディツアーに参加しました。

マイクロファイナンスへの興味だけはあれどほとんど知識はなく、英語力もイマイチ(もちろんクメール語は全くわかりません)。「海を越えた自分の投資を実感したい。しかもマイクロファイナンスという、いわば人々の自立・可能性を切り開いていく分野の投資を。」本当にそんなシンプルな動機だけで参加を決めたツアーでした(事前勉強もほぼしないで…)。

そんな自分なので、「この目で見たマイクロファイナンスの実態はこうで、現場の課題はこんなところにあるようです」などといった、含蓄ある、実益性のある報告は残念ながら難しいです。
自分に報告できることがあるとすれば、このツアーはここがよかったな、という率直な感想をお伝えすること。(1)リアルな現地の生活に投資家として触れられるツアーであったこと、(2)参加者が自分たちでつくっていくツアーであったこと、の2点です。

1点目。
借り手の方を一軒一軒訪問しお話をお伺いすることがメインのツアーであるため、現地の方々のリアルな生活を垣間見ることができます。現地の人々のリアルな生活に、しかも投資家の立場から触れられるという経験は貴重でした。いわゆる観光客向けのスポットだけ見て回って帰る一般的なツアーとは一線を画する経験をいただいたと感謝しています。
普通の海外旅行であったのであればバスの中から横目で見るだけだったかもしれない農場、牧場、あるいは雑貨屋さんが、自分の投資したお金が通い活かされる場所として意味を持ち、ストーリーが生まれ、つながりが紡がれます。もちろん休暇として行く旅行にそういった要素を求めることについて、面白いと思うか面倒と思うかは人によって分かれるところかとは思います。が私はそれ目当てで参加をして、そして実際このツアーでなければできない経験をたくさんいただきました。
マイクロファイナンスで得た資金が子供の教育への原資になったり、自分の夢の実現への足がかりになったり。マイクロファイナンスが現地の人の可能性を切り開いていく現場に、投資家として立ち会えたことで、この旅での自分の目標は達成できたと思っています。(事前準備を怠けずしっかりやっておけば充実度は更に高まったはずなのですが…)。

2点目。
このツアーは、LIPが内容を主に企画しHISがツアーとして提供するという、一風変わった形で成立しているものです。旅行会社が提供するツアーでありながら、ツアーの核となるマイクロファイナンスに係るコンテンツについてはLIPが担っていて、そのLIPはパートタイムNPO(本業をそれぞれ持っている方たちがパートタイムで時間を割き運営しているNPO)であるという事実。ツアーにはLIPの方も参加されますが、彼ら彼女らはツアーの企画者であり同時に参加者でもあるという、これまた面白い事実。
スタディツアーであるため参加者それぞれが学びを持ち帰ることが大事で、そのために参加者一人一人の学びを全体で共有することは大きな意味を成します。LIPのスタッフでない参加者からの自発的な提案により、一日の終わりに簡単なミーティングをして情報・学びの共有の機会が設けられることになりました。毎日のミーティングのおかげでツアー参加者の主体的な参加が促進され情報の共有も進み、一日ごとにミーティングの成果が反映されてその翌日、そのまた翌日とツアーが見る見る充実していったのが印象的でした。
旅行会社が全てお膳立てしてくれる旅ではなく、自分たちで自発的にミーティングをして、自分たちで旅を形作っていく。パッケージの組まれたツアーの中で能動的な参加が要求されることについて面倒と思うかそうでないかも、もちろん人によって分かれるところだとは思いますが、少なくとも私は、旅行会社が用意するツアーとしての要素も楽しみつつ「自分たちでつくりあげるツアー」も同時に経験できたこと、すごく感謝しています。

ツアーの内容、素敵なガイドさん、LIPのスタッフの方の素晴らしいリード、何より素敵な参加者の皆さん。それら全てに恵まれた、すごく充実した旅でした。ありがとうございました。


宮寺 修也

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現地訪問記2011年4月16日 13:21

スタディツアー報告 vol.6:借りての向上心に心を打たれた

スタディツアー第2回に参加した方の感想をご紹介します。
初めての海外旅行がこのスタディツアーだったとのこと、ハードスケジュールだったと聞いていますが、その後、大丈夫でしょうか。よい経験をしていただけていれば企画者として嬉しく思います。

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マイクロファイナンス・スタディツアーに参加して

study tour march-1
(砂糖ヤシをとるため、15メートル以上あるとおもわれる木をのぼる借り手の方。たくましくてかっこよかったです。)

マイクロファイナンスの現場そしてカンボジアの国をみてみたいという気持ちでこのツアーに参加しました。カンボジアは内戦によって不安定(危険がいっぱい)、世界遺産に登録されたアンコール・ワットやアンコール・トムの遺跡を訪れる観光客でにぎわっている(歴史がいっぱい)、そんなイメージをもって現地に向かいました。

シェムリアップに到着し、翌日カンボジアのマイクロファイナンス機関で働く方や借り手の方を訪問していきました。カンボジアにおけるマイクロファイナンスの不良債権率は3%程度ということで、未来は暗くないと感じることができました。また不安な気持ちを抱えながらも、お金を借りビジネスを成功させようとする借り手の方々の向上心に心を打たれました。笑顔で挨拶をしてくれる借り手の方の表情はとても印象的でした。一方、観光客が集まる場所で物乞いをするこどもたちの姿も目に焼き付いています。決して無関係とはおもわず、この問題を考えていきたいとおもいます。ビルや田園風景、観光客や現地の人々、言葉では表現できないほど多くのものが混在するカンボジア。一面しかみることはできていないですが、危険な国ではなかったです。また訪れてみたいとおもいました。

マイクロファイナンスの情報は書籍やインターネットを通してでしか得ることができませんでしたが、このツアーではマイクロファイナンス機関で働く方や借り手の方と直接お話をすることができ、貴重な経験となりました。貧困という問題はすぐに解決できるものではないですが、マイクロファイナンスは解決の1つの手段になる可能性をもっていると感じました。

一緒に旅をした皆さまからは多くの刺激をいただきました。夜のミーティング、とても勉強になりました。私にとってはこれが初めての海外経験でしたが、充実したものになりました。ありがとうございます。


伊澤貴大

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動画コレクション2011年4月5日 14:20

スタディツアー報告 vol.5:マイクロファイナンスはビジネスである

少し、間が空いてしまいました。
この間に、既に第2回のスタディツアーも実施されました。
そちらの様子も順次ご紹介したいと思いますので、ご期待下さい。

今日は、普段は金融機関にお勤めの林さんの感想をご紹介します。


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カンボジア スタディツアーに参加して

メコン川とバンブーブリッジ


今回のツアーでは主に、マイクロファイナンス機関(Seilanithih)の社員の方々(CEOから営業まで)、また借り手の方々から、実際にお話を伺いました。Seilanithihは総資産約7.7百万ドル、顧客数約1万人と、カンボジア国内でも比較的小さなマイクロファイナンス機関ですが、財務内容は健全で、毎期安定的に利益を計上しているようです。

初日にお会いしたCEOのSethaさんは非常に気さくで底抜けに明るい方で、そのエネルギーと前向きさが伝わってきました。日々の営業活動や与信管理業務をこなすCO(Credit Officer)の方々は、素朴でシャイ、とてもまじめな印象(ガイドさん、顧客の皆さん含め、今回お会いした方々は皆そのような印象です。カンボジア人の国民性なのかもしれません)。皆さん笑顔がかなり素敵でした。

一人あたり200人~300人の個人顧客を担当し、毎日農村部の顧客をバイクで訪ね、新規顧客の開拓や返済の催促、生活状況の確認を行っているようです。貸し出す際には、借入希望者が住む村の村長に、その人の人間性や評判、他の金融機関に債務がないかどうか等を確認するとのこと(もちろん資金使途や事業内容なども精査します)。また返済しない利用者とは粘り強く対話をし、多くの場合は理解を得られるとのことで、人と人のリレーション・信頼関係がとても重要になると感じました。

皆さん社会貢献に対する高いモチベーションをもって働いており、内戦の混乱から間もない中で、そのような崇高な姿勢を持って働くことに対し、敬意を覚えました。

借り手の方々は、小さな飲食店を営み、2店目の出店費用に充当する人、椅子職人で、その材料を購入する人、ビリヤード台を購入し、近所の若者からの利用料で収入を得る人、農業を営み、牛を購入する人、灌漑用のポンプを購入する人など、その職業、資金使途は様々でした。借入により実際に生活が向上した人もいれば、受注が増えないので収入も増えず、逆に月3%という高い利息が負担となっている人もおり、当然ではありますが、マイクロファイナンスは、あくまで貧困層が自律的にその生活を向上させるチャンスを、資金という形で提供するものであり、それを実現させるのは市場環境やその人次第だということを実感しました(先進国でも同じです)。そしてそのチャンスを最大限に生かすために、市場や事業展開のノウハウ等に関する情報を入手できる環境作りや、市場とのスムーズなアクセスが欠かせないと感じました。

今回のツアーを通じて最も印象深かったのは、マイクロファイナンスはビジネスであるということ。慈善事業ではなく、収益を計上することを前提に成り立っています。与信判断や与信管理も、マニュアルに沿って日々堅実に行っており、返済率もほぼ100%とのこと。一般的には「貧困層から暴利を搾取して、けしからん」という意見も一部あり、該当するケースもあるかもしれませんが、全体として見れば、ビジネスとして行うからこそ、援助資金に頼らず、これだけの短期間で世界中の貧困国に浸透したのだと感じました。またビジネスとして行うことにより、投資家・経営者・社員・顧客ともに強い責任感を持ち、資金を効率的に運用し、持続的発展が可能になるのだと思いました(生きるために必要なインフラすら整っていない場合には援助は重要ですが)。現場を見るまでは、慈善的要素が強いイメージを抱いていたため、この発見は新鮮でした。

リーマンショック後、多くの人が、収益を最優先する拝金主義的な営利企業の在り方に違和感を覚えていると思いますが(自分もその一人です)、マイクロファイナンスのように、収益とともに社会的利益も実現できる場合、それは効率的で魅力的なものになり得ることを実感しました。そして、これからの途上国の発展や貧困層の生活水準の底上げについて、ビジネス(営利企業)の力が果たす役割は大きいと感じました(すでにBOPビジネスが浸透しつつありますが)。自らも営利企業に身を置く中で、今後の働き方を考える上で、良い経験になりました。

本ツアーを企画して下さった方々、参加者の方々、現地のガイドの方々、お忙しい中時間を割いて下さったSeilanithihの方々、借り手の方々に心より感謝致します。


林 雄二郎

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林さんと言うと、カンボジアでものすごく辛い香辛料を食べて、お腹をこわしていたのが思い出されます(笑)。その後、体調はいかがでしょうか。お忙しい中、感想文をお寄せ頂き、どうも有難うございました!

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動画コレクション2011年3月14日 16:49

カンボジアからのメッセージ

この度の東日本大震災について、カンボジアのマイクロファイナンス機関からもお見舞いのメッセージをいただきましたので、共有いたします。

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【サミックのジェネラルマネジャーカリヤン氏より】

日本の地震と津波の報を聞き、大変心を痛めております。日本の人々や政府にとって、大変な損失と苦しみであると思います。

私には、日本の関係者やご家族の皆様に、この災難の影響がどう及んでいるのか、想像もつきません。しかし、私たちも、皆様と共に、この苦しみと悲しみを分かち合っているということをどうぞ知ってください。

King Kap Kalyan
General Manager
SAMIC-Limited

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【セイラニティのCEOセタ氏・ViceCEOのファリド氏より】

今回の津波で被災された方に、心よりお悔やみ申し上げます。
皆様のご家族やご友人、少しでも多くの方のご無事をお祈り申し上げます。


Kuch Setha
CEO
Seilanithih-Limited

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大震災と津波によって、数千という命が失われた事に対して、私たちは深い衝撃を受け、心より悲しんでいます。

セイラニティ社員一同、犠牲になった全ての方に、哀悼の意を表明申し上げます。
また、皆様やご家族、ご友人、全ての方のご健康を心よりお祈り致します。

神のご加護がありますように。

Farid Ahmed,  
Deputy CEO
Seilanithih-Limited

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現在、必死の救助活動が行われておりますが、
少しでも多くの方が救われるよう、心よりお祈り申し上げます。

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動画コレクション2011年3月10日 13:50

スタディツアー報告 vol.4:借り手が返せなくて困るということは、私たちも困るということ

ツアー参加者の方の感想です。是非ご覧下さい。

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昨今、マイクロクレジットは、いろいろな国、地域に登場してきている。それと同時に、マイクロクレジットがビジネスとして利益を上げ得るということで、巨大資本が流入し、マイクロクレジットの多重債務者が生まれてきているなど、その弊害を伝える報道をしばしば耳にするようになった。では、実態は、どうなのだろう、そんな興味からこのスタディツアーに参加した。
 
数か所のマイクロクレジットを扱う団体を訪れ、それぞれ担当者から、詳細な説明を聞いた。もちろん私たちが知り得たのは、ほんの表面的な事だけだったかもしれないが、私が強く印象に残ったのは、“借り手が返せなくて困るということは、私たちも困るということだ”、と、借り手と同じ目線に立って働こうとする彼らの真摯な姿勢だった。また、私たちは、何人かの借り手を訪れ直接話が聞けた。最初に訪れた借り手の女性は、今の融資が8回目だと言う。一つ返し終わらなければ次は借りられない。だが、着実にそれを繰り返していくことで、少しずつ、生活状態をよくしていくことができる。
 
ただ、貧しさの中で、そのまま流れていくに任せるだけの生活から、自分の力で生活を向上させていく事が出来るという事を彼らはマイクロクレジットを通じて、実感しているようでもあった。そういう意味では、マイクロクレジットは、人々の意識の啓蒙という役割すら担っているのかもしれない。借りた数百ドルの資金で、何かが劇的に変化するということはおそらくない。だが、自分の努力で、計画的に生活をよくしていく事が出来るということは、やはり、人々の大きな希望になり得ると思う。
 
あるマイクロクレジットバンクのCEOは、人々は、マイクロよりもう少し大きな資金を借りたいと思うようになってきた。だが、銀行には、貸し出せる資金がない、と言った。“応援してみたいな、カンボジアⅢも参加しよう、“ そう思いながら帰国の途に就いた今回のツアーだった。

ソチアさん
(笑顔が素敵なソチアさん。カンボジアを愛し、日本と日本語が大好きなガイドさんです。このツアーがこれだけ素晴らしいものになったのは、彼の存在が大きいです。)


増山利子 
 
現地日本語係員の方です。

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「早くスタディツアーを企画して下さい。」以前、Living in Peace主催の懇親会でお会いした際に、投資家の増山さんに言われた言葉が、ずっと心に残っていました。

ファンドを企画する際、投資家特典として「スタディツアー」を考えましたが、実際の所、投資先を本当に見に行きたい方がいらっしゃるのか、正直よく分かっていませんでした。

今回初めて企画・開催したツアーで、お申込期間が短かったこともあり、当初なかなかお申込は増えませんでした。しかし、増山さんは率先してご参加下さり、このような感想を頂き、改めて、実際にマイクロファイナンスの現場を見ていただくことの大切さを思いました。

当然、全ての方が、ツアーに参加できるわけではありませんので、こうしてブログ等を通して、他の投資家を始め、多くの方と経験を共有できるよう、担当者としては努力をしていきたいと思います。

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