LIVING IN PEACE BLOG 2008年11月

勉強会・セミナー2008年11月26日 14:48

大竹文雄教授のブログで本フォーラムが紹介されました

おかげさまでマイクロファイナンス・フォーラム(11/28)のご出席者が90名を超えました!

2006年に石川賞を受賞された大竹文雄教授のブログ(11/26付)で、我々のフォーラムが紹介されました。

大竹教授のブログはこちら

 

今回のフォーラムでは、残念ながら日本の学術関係者の講師をお呼びすることができませんでした。これをきっかけに、日本の学術の分野でもマイクロファイナンスの研究が進むことを期待しております。

大竹先生の著書はたくさんありますが、『格差と希望』『経済学的思考のセンス』は、我々の勉強会でも取り上げたことがあります。

日本の格差・不平等や貧困を経済学的視点から学ぶことで、世界の貧困を考える良いきっかけになっています。

大竹文雄教授には、ご多用のところご好意で宣伝していただいたことをお礼申し上げます。

 

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勉強会・セミナー2008年11月26日 14:42

マイクロファイナンス・フォーラム(11/28)直前対策②!!! -マイクロファイナンス機関の資金調達

さて、28日のフォーラムでは、スタンダードチャータードのプレゼンもありますが、昨今の欧米におけるマイクロファイナンス投資を理解するためには、MFIsの資金調達の仕組みを理解することが不可欠です。前回、商業化するMFIsの業態転換の流れをまとめましたが、段階の異なるMFIsでは、資金ニーズや資金調達の選択肢が異なるのです。今回は、商業化の各段階におけるMFIsの資金調達方法をまとめてみようと思います。

 

通常、初期MFIs(NGO-MFIs)は、マイクロクレジットの原資となる資本は補助金等により既に確保されています。(予算がついた上で、プログラムが始められる場合が多いでしょう。)このため、初期のオペレーションにおいては、MFIsは主にバランスシートのアセット側のマネジメント、つまり、ポートフォリオの拡大、経営情報システム(Management Information System: MIS)の導入、キャッシュ・マネジメント等に経営努力が注がれます。やがて、これらの努力によりビジネスが軌道に乗ると、ポートフォリオを拡大するために、バランスシートの右側の構築、すなわち、新たな資金調達方法の開拓が始まります。

 

 

表にあるように、受贈資本のみで始めた初期NGOに、新たな資金ニーズがある場合、まずは援助資金を頼みとし、ドナーの新規開拓や既存ドナーからの追加的な補助金により調達をします。次に、収支が均衡し多少の剰余金を生み出せる自立的NGOになると、多少の信用ができるため、今度は同じ援助資金でも、補助金ではなく、ドナーや援助機関から市場金利より低い金利での借入れ(Concessional loan)ができるようになります。金利は払うものの、選択の幅は広がり、自由度が高まります。

 

しかし、一般的に援助資金というものは、限定的で、中・長期的な資金計画を立てる上では、非常に不安定な財源と言えます。なぜなら、MFIs自身のパフォーマンスとは無関係に、政治的、経済的状況等により、いつ打ち切られるのか、次年度あてにできるのかすら確かではないからです。また、マイクロクレジットが高金利なのはよく知られていますが、追加融資の条件として、それがコストをカバーするのに必要な金利であるかどうかに関わらず、一方的に金利の引き下げを要求されることもあると言います。

 

さらにビジネスが拡大し、資金ニーズが高まると、今度は市場金利での商業借入(Commercial borrowing)により資金調達を図ります。しかし、この段階で、NGO-MFIsは壁にぶち当たります。いくら実績のある成熟NGOとは言え、貸し手は、特に地場銀行は、なかなかNGOには融資をしないからです。仮にしたとしても、高リスクとみなされるため金利は高く、融資限度額も低い(エクイティに対して、同程度か最大でも2倍程度)ので、急成長するポートフォリオの成長速度を維持するのは困難になります。事実、多くのMFIsにとって最大の成長制約要因は資金調達であることが指摘されています。

 

例えば、MFのパフォーマンス評価基準の一つであるAccion CAMELでは、MFIsの負債比率は6倍以下であること、つまり自己資本比率が17%以上であることが推奨されています。 しかし、このようなMFIs対象の基準はあっても、前提となっているのは、業態転換を遂げたMFI銀行だけであり、NGO-MFIsなどは、そもそも想定の範囲外ということになります。つまり、MFIssがレバレッジを効かせ、資本市場からより多くの資金を調達するためには、NGOからMFI銀行への転換を遂げることが不可欠であり、それが、預金業務の展開と並んで、MFIsが甚大なコストをかけても商業化していく大きな要因となっています。

 

このような事情を背景に、見事業態転換を果たしたtransformed MFIsは、資金調達手段として、預金の動員、株式発行、そして債券発行と、その選択肢を広げていくのです。

 

預金については、しばしば最も低廉な調達手段と思われがちです。しかし、商業借入がオペレーションコスト等の追加的なコストが一切かからず、金利のみを負担すればよい一方で、transformed MFIsが新たに預金サービスを始める際には、貯蓄商品の開発、マーケティング、セールス、新たなMISの導入等のインフラ整備に多大なコストがかかるため、少なくとも短期で見れば、必ずしも最安の調達方法とはいえないわけです。ただし、預金サービスの提供はMFIにとって重要な資金調達源を確保するのと同時に、顧客サービスの向上であり、マイクロクレジットは必要としていないが、安全なお金の保管場所を必要としている多くの貧困層へアウトリーチを広げる可能性がある、という点も忘れてはなりません。

 

ということで、今日はここまでにしたいと思います。フォーラムまで本当にもう少しですが、明日時間が作れれば、MIVs(Microfinance Investment Vehicles)についても、簡単にまとめたいと思います。

 

 

《参照文献》

・Burand, Debora. 2007. “Chapter6.: The funding structure”, Transforming Microfinance Institutions, p163.
・CGAP/MIXが2004年に行った調査。http://microfinancegateway.org/files/14588_CGAP_MIX_MFI_Demand_for_Funding_Survey_Report.doc
・Saltzman,Sonia. and Darcy Salinger. 1998. “The ACCION CAMEL - Technical Note”, Accion International, USAID - Microenterprise Best Practices (MBP) Project. p137.

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マイクロファイナンスフォーラム2008年11月25日 14:37

マイクロファイナンス・フォーラム(11/28)直前対策①!!! -マイクロファイナンス機関の商業化

皆さん、こんにちは。もうマイクロファイナンス・フォーラム(11/28)のお申込はされましたか?講演者の方からのプレゼン資料が揃いつつありますが、かなり面白いです!まだお申込をされていない方は、そろそろ定員に達しそうな勢いですので、お早めにお申込ください。

 

さて、プレゼン資料を確認したところ、皆さんのプレゼンの中でカバーされていないけれども、前提として知っておいた方がいい点にいくつか気付きました。もうあまり時間はありませんが、これからフォーラム当日までの間に、できる範囲でまとめてみようと思います。

 

まずは、マイクロファイナンス機関(MFIs)の商業化についてです。MFIsの商業化とは、言ってみれば、MFIsの業態転換の繰り返しに他なりません。

 

MFIsの類型

MFIsは一般的に、創設期にはNGOの形をとり(NGO-MFIs)、やがてビジネスを拡大させ、よりフォーマルな金融仲介業者としての地位を確立していく中で許認可を取り、公的機関の監督下に入り(regulated MFIs)、さらには「MFI銀行」へと業態転換していきます(transformed MFIs、或いはMFI Banks)。また、国により異なりますが、預金業務をするためには特別なライセンスが必要な場合が多く、そのため、預金業務を行えるMFIsのことを特に区別して呼ぶ場合もあります(deposit-taking MFIs) 。

 

業態転換の過程で満たさなければならない要件は、国際金融システムにおけるグローバル・スタンダードに則った適切な財務管理や財務報告書の作成、外部監査、内部統制、リスク管理、透明性の確保、情報開示など多岐にわたり、MFIsにとってはかなり厳しいものです。しかし、だからこそ、見事、業態転換を遂げ、組織の足腰を強化したMFIsは、先進国の投資家からも認められ、資本市場での資金調達が可能になるのです。

 

ダウンスケーリング

世界人口の8割には金融サービスへのアクセスがない(Unbanked)と言われるほど、これまでは、伝統的な銀行や金融機関は、途上国・先進国を問わず、低所得層への与信には極めて慎重でした。しかし、MFIsの中からいくつもの成功モデルが出現し、MFの社会的な効率性と収益性が認められるにつれ、少なからぬ商業銀行・金融機関が、MFIへの技術支援、リファイナンス、エクイティ投資等の間接的な方法や、ダウンスケーリングと言う直接的方法でMF市場に参入するようになっています。

 

ダウンスケーリングの手法としては、既存の銀行・金融機関がその枠組みの中で、MF層向けの金融商品やサービスを開発する方法や新たにマイクロファイナンスに特化した部・局や子会社をつくる方法、マイクロクレジットの引受業務を地場のMFIにアウトソーシングする方法等があります 。いずれにしても、商業銀行がMFに参入した場合、新たにMF市場の知識、クレジット手法、適切な組織文化などが求められる一方で、既存のインフラやネットーワークが使える点や資金調達の容易さ、知名度などで優位性が認められるようです。

 

このようなプライベート・セクターの参入は、これまではもっぱら貧困削減という社会的使命によって支えられていたマイクロファイナンス機関の商業化を加速させました。商業化とは、利潤を追求していくことですが、その中で、貧困対策という組織の元々の理念とどのように両立させるのかが最も難しい課題の一つとなっています。完全な商業主義の道を選択する例はほとんどなく、多くの場合には、貧困層へのアプローチと利潤追求の両方を目指す「ダブルボトムライン」を掲げるようです。

 

次回は、MFIsが業務形態に応じて、いかに資金調達を行うのかをまとめようと思います。

 

 

《参照文献》

・ADB年次報告2004.「特別レポート 変貌しつつあるマイクロファイナンス業界:貧困層のための金融システムの構築」
・CGAP. 2006. “Good Practice Guidelines for Founders of Microfinance”.p35.
・CGAP. 2004. “Financial Institutions with a ‘Double Bottom Line’: Implications for the Future of Microfinance.” Occasional Paper No.8, CGAP, Washington, DC.
・PlanetFinance. “Downscaling in Microfinance: A market opportunity for banks”. http://www.planetfinance.org/documents/EN/note-downscaling-eng.pdf
・Accion. “Commercial Banks in Microfinancing: Downscaling to reach the majority”.(presentation).

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勉強会・セミナー2008年11月13日 14:32

マイクロファイナンスフォーラムのお知らせ

たくさんの方のご協力のおかげで、11月28日(金)15時から、我々LIPが主催するマイクロファイナンス・フォーラム『マイクロファイナンスの新地平』を開催するに至りました。

皆様のご出席をお待ちしております。

 

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【フォーラム案内】  マイクロファイナンスの新地平

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開発と金融の分野を両立させる革新的な小規模金融手法として

世界中で注目を集めているマイクロファイナンス。

その商業化傾向が世界的な潮流になりつつあります。

しかし、日本の金融実務では、

・言語的な問題による情報伝達の不十分さやそのタイムラグの問題

・開発は利益提供の機会にならないので金融実務とは両立しないという誤解

によって、未だこの分野への参入に対して消極的です。

このような現状を打開し、日本におけるマイクロファイナンス実務の進展

を目的に、このフォーラムを開催することにしました。

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【テーマ】

本フォーラムではマイクロファイナンスへの理解を深め、

その商業化がどのように成り立っているのか、

投資対象としてのマイクロファイナンスの魅力はどのような点にあり、

今現在、直面している問題は何なのか、

といった点について、最先端の理論と実務における知見を基に検証します。

その上で、日本の金融実務における可能性を模索しようと思います。

(同時通訳付)

扱うトピックは以下の通り。

・「マイクロファイナンスの商業化の全体像」

・「マイクロファイナンスにおける需給ギャップ」

・「マイクロファイナンス金融機関への格付け」

・「マイクロファイナンスというアセットクラスの魅力」

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【講演者】

■基調講演者

・ スチュアート・ラザフォード氏 (マイクロファイナンス機関SafeSave共同代表)

http://www.thepoorandtheirmoney.com/Background.htm

■スピーカー

・ 福井 龍氏(世界銀行東京開発ラーニングセンターマネージャー)

・ Abul Kalam氏(グラミン銀行)

・ Otto Wormgoor氏(Planet Rating)

・ Prashant Thakker氏(Standard Chartered銀行 Global Business head- Microfinance)

・ LIP(本フォーラム主催団体)

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【日時】2008年11月28日(金)

受付開始:14:30、講演会:15:00~19:00、懇親会:19:30~21:00

【会場】「世界銀行東京開発ラーニングセンター」

http://www.jointokyo.org/ja/about/location/

住所:〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階

電話:03-3597-1333

最寄り駅:都営三田線 内幸町駅(A6・A7番出口) 徒歩1分

千代田線 霞ヶ関駅(C4番出口) 徒歩3分

【定員】100名

【参加費】一般:3,000円、学生:1,000円 (懇親会参加の方は+3,000円)

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【主催】 LIP (Living in Peace)

【協賛】 モルガン・スタンレー

東京フィナンシャル・アドバイザーズ株式会社

株式会社 金融エンジニアリング・グループ (FEG)

【後援】 JICA(独立行政法人 国際協力機構)

【協力】 世界銀行東京開発ラーニングセンター

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【主催者紹介】

本フォーラムの主催団体であるLIP(Living in Peace)とは、

開発に関心のある金融機関関係者を中心に2007年10月に設立された団体です。

 

その他にも公務員、国際機関関係者、学生などがメンバーになっており、

4月にはNPO法人設立予定です。

HP:http://www.living-in-peace.org/

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