LIVING IN PEACE BLOG

メールマガジン2009年4月25日 17:34

メールマガジン Piece & Peace No.006

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リビング.イン.ピース(
LIPメールマガジン Piece & Peace No.006 09/04/16号

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こんにちは。

暖かい日が続きますね。
桜が綺麗でしたが、
皆様もお花見等には行かれましたでしたしょうか。

さて早速ですが、
第3回の現地視察レポートを代表の慎よりお届けします。今回の内容は
、マイクロファイナンス機関等のご紹介というよりも、
慎自身の考え方となっておりま
す。

下記サイトにて、ファンドの1口あたりの金額につきまして、
アンケート調査を実施し
ております。宜しければ、ぜひ回答にご協力ください!

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2009年4月2日(木) 第五日目

午前中は、Ministry of Economy and Financeを訪問。日本でいう財務省か。

出迎えてくれたのは、事務次官のChou Vannakさん。

カンボジアの金融関係の規制について、これまでMinistry of Economy and Financeと
中央銀行での線引きはあまり明確ではなかったものの、
最近においてそれが明確化して
きたとのこと。省庁では全般的な方向性を打ち出し、
具体的な規制は中央銀行がまとめ
て行うということになっているようだ。


午後は、Toul Sleng虐殺博物館へ*1。

ここはもともと学校で、ポルポト率いるクメール・
ルージュが政権を取得したのち、保
安事務所として使われたものだ。

プノンペンにいる人びとの多くは、クメール・
ルージュが政権につく以前の内戦が郊外
で行われていたため、安全を求めて来た人たちだ。クメール・
ルージュは、「カンボジア
を解放させるための闘いから逃げた人びと」を「新市民」と呼び、
粛清の対象と考えた。
首都にいる人びとの多くは郊外に強制移住させられ、
過酷な労働条件のもとで亡くなっ
た。スパイの容疑をかけられた人びとは、
この刑務所に連れてこられた後に、拷問によ
って(おそらくその多くは嘘の)自白をさせられ、
カンボジア国内に数100とあった処
刑場(Killing field)に連れていかれ、殺された。

ポルポト以前のカンボジアの人口は700万人だった。それが、
ポルポト政権が壊滅する
ころには400万人になったとガイドの人は話していた。100~
200万人が殺され、その他の
人々は国外に難民として逃れた。ガイドさんは当時8歳だったが、
プノンペンから南東の
都市に強制移住させられた。移住先に着いた直後に父が殺され、
残された彼女の家族は
ベトナムに亡命したと話していた。


博物館に入って最初の棟には、
部屋ごとに鉄のベッドが一つぽつんと置かれている。
部屋に大きくかけられている写真は、
その鉄のベッドの上で無残に死に絶えた人のもの
だ。これは、
ベトナム軍がプノンペンに侵攻した際に撮った写真なのだという。

次の棟には、亡くなった人の写真と、殺す側にいたクメール・
ルージュの戦闘員たちの
写真が並んでいる。最後の棟には、さらに絵や写真があり、
3階で映画を見ることができ
る。

当時、クメール・ルージュに所属し、
この虐殺に関与した青年の多くは罰を受けていな
い。彼・彼女らの多くは、自らの過去をひた隠しにし、
普通に生活しているのだという。

元・クメール・
ルージュの人びとのインタビューが博物館の一室で展示されていた

多くの人が言うことは「自分だってこんなことはしたくなかった。
だけど、やらなかっ
たら自分が殺されたのだ」というものだ。中には、「自分は、
自分のしたことを一切
やましいとは思っていない」と言う人も。

体制に加担しなければ殺されるという状況の下で、
虐殺に加担する人を、倫理的な観点
から批判することはたやすい。でも、
自分自身が同じ状況に陥ったらどう行動している
のだろうか。はたして、正しいことのために死ねると、100%
の確かさをもって言い切れ
るか。もし、そのときに、自分に愛する家族がいて、
それだけはどうしても守りたいと
考えていたら?

ある問題について考える際に重要なことの一つは、
自分が当事者であればどうするかと
いうことを慮ることにあると思う。
そういった思考の過程を経ないで、わかりやすい正
義を振りかざすことに僕は断固反対する。

より問題にするべきは、
こういう普段は普通の人を殺人マシーンに変えてしまう仕組みに
あり、
どのようにすればこういった仕組みの支配を止めることができるのか、にあると
思う。僕は、ポイントはいくつかあると考える。

・言論の自由を死守すること
人びとの思考を麻痺させるような言論に対して異議申し立てをし続
けること。
歴史を振り返ってみると、
悲劇は言論の自由が守られなかったときに引き起こされること
が多い。

・自分の頭でものを考えることを教える教育
批判精神が養われない教育は、社会を一気に全体主義化しうる。
また、社会における教育
の水準が低いことも、同じ問題を惹起する原因となりうる。

・貧困の撲滅
多くの虐殺を後押しする要因のひとつに、
虐殺者が被虐殺者によって経済的に抑圧され
ていた、ということがある。貧困は直接的に人を殺すのみならず、
憎悪の温床ともなり
うる。改めて、貧困の終焉を目指す僕たちの名前をLiving in Peaceとしたことに間違い
はなかったと思うようになった。

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2009年4月3日(金) 第六日目

カンボジア最後の朝。相変わらず、朝日は暖かく迎えてくれる。

午前中は、カンボジアの中央銀行へ。

重役の方にお会いして、
カンボジアへの投資の規制について質問をする。

カンボジアのマイクロファイナンス周りの規制は、
世界でも有数の優れたものだ。
これには二つの理由がある。

1)
カンボジアの市場システムがポルポト政権下で完全に破壊されたこ

2)
内戦が終わりカンボジア王国として再出発した1993年以降、ドナーからの
アドバイスを忠実に受け入れたこと

カンボジアではマイクロファイナンス金融機関は当局の管理下にあ
り、現在、登録を受け
ている機関数は18。これは他の国と比べれば非常に少なく、
その分規制が十分に行き届い
ていると考えられる。

また、
マイクロファイナンス金融機関への投資において外資規制は一切存在していない。
拍子抜けするくらいだった。原則として、
資金調達を行うマイクロファイナンス金融機関
の同意が得られるのなら、
どんな形態であれ外国からカンボジアへ資金が流入すること
に対する制限はない。もちろん、
マネーロンダリング等は厳しくチェックをしていると
のことだったが。


ミーティングが終了し、最後の自由時間。

昨日の虐殺博物館に続き、
多くの無辜の人々が殺されたKilling
Fieldに行ってきた。
プノンペンから10kmほど離れたところにある。現地特有の交通
手段であるトゥクトゥクに乗って移動。

フィールドの中央には慰霊塔があり、
塔の上にまで死者の骸骨が積み上げられている。
骸骨はガラスケースの中に入っていて外から見ることができるので
、強烈な印象を来訪
者に与える。

塔の前で合掌した後に、実際に虐殺が行われた現場へ。

現場はとてもここで2万人が殺されたとは思われないほど、
平和な空気に満ち溢れている。
しかし、足元には、展示目的からか、
亡くなった人びとの服や白骨が一部そのままに残
されている。いたるところに深さ1mほどの穴があり、
人びとはこの前で殺され、穴に
埋められていったのだという。ガイドさんは、
どうやって人びとが殺されたのか、一つ
一つ話してくれた。ガイドさんの親も殺されたという。


けれど、僕にはどうしても納得できないことがあったので、
説明を終えてくれたガイド
さんに質問をする。

「あなたが教えてくれたように、
まだそこら辺に骨がむき出しになって残ってあります
よね。

もしこの骨があなたの親のものだったらどう思いますか?」

「いや、私の親はここでは殺されていない。」

「いえ、そうじゃないんです。もしもの話で、
もしそこに落ちていた骨が、あなたのお父
さんやお母さんのものだったら、あなたはどう思いますか?
ちゃんと弔ってあげるべきだと思いませんか?私には、
あの骨は単に展示用に利用され
ているだけに感じてしまうんです。」

「申し訳ないと思う。」


確かに、事件の残虐性を人びとにしっかりと伝えるために、
処刑場(Killing Field)の
中にむき出しの骨や脱がされた服を放置するのは有効なことだと思
う。これらは、人びと
の想像を助けてくれるし、想像を通じて得られる対体験は、
過ちを繰り返さないために
有用だからだ。

だけど、そのために死者の骨を放っておくことが許されるのか。
僕は、もしその骨が自分
の親のものだったら、
こんなところに置かずにちゃんと弔ってあげたいと思う。

この問題は、より一般化して考えることができる。

「全体としての目的を遂行するために、
一部の人々に負担をもたらすことは許容される
のか」、という問題だ。

多くの政治家やリアリストは、「許容される」と答えるだろう。

僕はどう答えるだろう。

難しい問題について考えるとき、
僕は自分の尊敬する人々ならどうするかを考える。

僕の尊敬するガンジーは、「断じて許容されない」
と答えると思う。目的のために手段が
正当化されることはあってはならない、
というのが彼の信条だからだ。
ガンジーは、
全体の利益のために少数派が不利益を被ることは決してあってはならない、
と言うはずだ。

人が何らかの不利益を被るのは、
自らを含めた皆が受け入れた法のみによるべきで、それ
以外の場合には許容されるべきではない。
これが永遠平和のためには必要だとエマニュ
エル・カントは考えた。僕も同感だ。個人が、
自分以外の大多数の都合のみによって不利
益を被ることは、あってはならない。

僕が自らの浅薄な知識と経験、
それに一時的に昂ぶっている感情に基づいて話している
だけかもしれない。
また考えを改める日も来るかもしれないけれど、今の自分の考えは記
録しておきたいと思う。


いったんホテルに戻る。

頭痛がするので、また睡眠。

起きたら、もう出発の時間になっていた。

ホテルから車に乗って、プノンペン国際空港へ。

飛行機でベトナムまで移動。今は、
ホーチミン空港内のコーヒーショップでこれを書い
ている。

今日23時35分の飛行機で、日本に戻る予定だ。

今回の旅行全体の感想は、また帰りの飛行機の中で反芻して、
日本で友達と話しながら
まとめていきたいと思う。

*1 虐殺博物館HP(英語):
http://www.killingfieldsmuseum.com/


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いかがでしたでしょうか?読者の皆様とは、
慎の考え方と異なっている方もいらっしゃる
思います。もちろん、私たちの団体内でもそうだと思います。
とはいえ、私たち(コミュ
ニティに登録してくださった皆様も含めて)は、
発展途上国の貧困をマイクロファイナ
ンスを通じて解決したいと願い、行動する人たちの集まりです。
こうした巡りあわせに感謝したいような今日この頃です。

それでは。

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代表の慎が今月、ダイヤモンド社より本を出版致します。
タイトルは『15歳からのファ
イナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、
キジを仲間にしたのか?』です。
こちらも宜しければ、
まずは書店で手にとって頂ければと思います。
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