ゆっくり、いそげ?~セキュリテ自由帳~ 2020年11月
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sugi2020年11月30日 17:00
採用にあたり、スキルより重視していること
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現在、当社では「インパクト投資の拡大を支える人材」を積極採用しています。
インパクト投資の市場を拡大することは、SDGsの達成のために、いや、それに限らず単純に、持続可能で暮らしやすい未来をつくるためには、とても大切なことだと私は考えています。私自身は、その部分の思いが根底にあるので、今のこの仕事を続けていると思います。
しかし、はっきり言って、当社の仕事は難しいです。日本における投資への敷居は根強く高く、インパクト投資の認知度はまだまだ低くなっています。そうした環境要因に加え、当社では投資対象を予め制限することなく、非常にオープンに幅広く扱っているため、初めての事業分野や地域、課題に直面することも多く、何が正解か、誰も分からない中で、自分で考えて答えを出さないといけないからです。
さらに現在は、先行き不透明なコロナ禍における事業計画と向き合う必要があります。採用の募集要項に、好ましい経験やスキルを本気で挙げだしたらきりがないほど、ハイスペック人材を求めることになってしまうでしょう。
一方で、この仕事をしてきた中で分かったことは、ハイスペックで、すべての要件を満たした理想的な人材だからと言って、当社の求める仕事、つまりは、事業者や出資者の皆さまの期待や要請に応える仕事ができるわけではない、ということです。
では、採用にあたって何が重要か。私の考えは、まずは当社のミッションや目指す方向を共有いただけるかどうか、その上で、別の言葉で言えば、「ミッションドリブン」な人かどうか、ということです。うまくできなかった時やつまづいた時に、そこであきらめずに、しっかり踏ん張って、状況を打破していくためには、「自分が何のためにこの仕事をしているのか」という根っこがあるかどうかが、分かれ目になると思います。
私自身のことを考えても、人と比べて特に優れたスキルがある、ということではなく、「途上国の女性たちのビジネスのために資金を届けたい」、「被災地で事業再建に取り組む事業者さんに協力したい」という思い先行で、困難を乗り越えてくることができました。
以下が、当社のミッションからの抜粋です。
『金融』を通じた、新たな価値の提供
当社は、金融庁に登録する金融機関として、既存の金融機関では届かないニーズに応え、インディペンデントな創作活動と研究開発、産業振興による地域創生、貧困削減、そして、震災からの復興が実現する為、新たな価値を提供していきたい、そして、新しい金融の枠組みを作り出したい、と考えています。
こうしたミッションを実現すべく、当社には現在「セキュリテ事業部」「サステナビリティ部」「アライアンス部」の三部門があります。個人からの小口の資金を集める「セキュリテ」だけでなく、法人投資家のニーズに応えたファンドをつくる「サステナビリティ部」、そして外部連携によるミッション実現を目指すのが「アライアンス部」です。
いずれの部でも共通するのは、当社の理念の延長線上にある「インパクト投資の拡大を支える人材」が必要だということです。
長くなってきましたので、入社後、具体的にどんな仕事に携わっていただけるかについては、次回またご紹介したいと思います。
▶当社の採用ページはこちら:
http://www.musicsecurities.com/recruit
ここまで、読んで、もし当社への転職に興味を持っていただけた方、詳しい話を聞きたい方は、もし宜しければ、オンライン面談にお申込みください。年内の面談は、私が担当しますので!
<転職希望者にオンライン面談実施中>まずはお気軽にご相談ください
応募をご検討中の方やお悩み中の方は、まずはオンライン面談にお申込みください。
・事業内容や社風、働きやすさ等、ミュージックセキュリティーズのことをもっと知りたい
・自分の経歴やスキル、性格が、ミュージックセキュリティーズの業務に向いているか不安
等々、何なりとお尋ねください。担当者(12月は杉山)がお答えします。
▶お申込み方法:recruit@musicsecurities.com まで「オンライン面談希望」と記載の上、ご連絡ください。後日、杉山からメールにて日程調整のご連絡を差し上げます。
(杉山章子/プロフィール)
セキュリテを立ち上げた2009年にミュージックセキュリティーズ入社。マイクロファイナンスファンドや東日本大震災の被災地応援ファンドを主に担当し、弊社西日本支社開設時から4年間は西日本支社長として大阪オフィスにて勤務。これまでにファンドの組成営業、運営、監査、広報・マーケティング等、セキュリテに関する幅広い業務を担当し、執行役員や取締役も歴任。
(ミュージックセキュリティーズ・杉山)
※ オンライン面談の内容について、一部修正しました。(2020.11.30) -
sugi2020年11月24日 22:00
「インパクト投資に関する意識調査」からの雑感
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昨年、日本で初めてインパクト投資の認知度を広く調べた調査ということで、本ブログでも少しご紹介した、社会変革推進財団(SIIF)による「インパクト投資に関する消費者意識調査」が今年も行われ、その結果が、公開されています。
▶昨年の結果を紹介した本ブログの記事はこちら:「インパクト投資」を考える (2)
▶今年のSIIFの調査結果はこちら:「インパクト投資に関する消費者意識調査 2020年度」
今年もこちらで少しご紹介したいと思います。
まずは認知度から。
「インパクト投資」について多少でも知っている人 6.1%
「インパクト投資」という言葉を聞いたことがない人 82.8%
(出所:SIIFの調査結果PDFの15P)
昨年から全く増えていません。数字だけみると、昨年の6.8%から減っていますが、統計的な誤差の範囲ということで、認知度については「横這い」というのがSIIFの見解です。
この1年で、「SDGs」と言ったインパクト投資と切り離せないような言葉が大分普及してきたような印象があったので、個人的には少し意外でもあり、残念な結果でもありました。
また、投資経験と今後の投資意向について尋ねた設問では、
投資経験がない 54.8%
今後も投資に関心がない 45.6%
(出所:SIIFの調査結果PDFの11P)
となっています。そもそもの投資経験や投資への関心自体が、相変わらずの低さです。
この調査を担当された方も書いていますが、「老後、年金だけでは2,000万円足りない」とあれだけ大きく騒がれても、なかなか関心は投資に向かないようです。(多くの方は、節約や貯蓄、就労の継続などを軸に考えているのでしょうか。投資もしたらいいのに…。)
私にすぐに答えはないのですが、「インパクト投資を増やしたい」と考える上では、なぜこんなにも投資に関心がないのか、今後、突き詰めて考える必要があると思いました。
設問の中で、セキュリテのファンドに該当する「投資型クラウドファンディング」については、今後投資したいと考える人が、株式への投資の5.5ポイント増に次いで高いことは、絶対数が少ない中ではありますが、希望の持てる側面です。
投資型クラウドファンディングに投資したことがある 1.5%
今後(継続することも含めて)、投資型クラウドファンディングに投資したい 5.9%(+4.4pt)
(出所:SIIFの調査結果PDFの11P)
今年度の調査では、インパクト投資の認知度に加え、潜在顧客層の属性や価値観、関心投資分野についても調べられています。
レポートでは、調査の結果から、インパクト投資が重点ターゲットとすべきセグメントについて、セキュリテとは異なる立場から、次のような提案がされています。
・インパクト投資に割いてもよい金額が「50万円未満」の層は、人数は多いものの、獲得できる金額規模は小さい。
・金融機関が、インパクト投資の商品組成や顧客開拓にかけるコストと、獲得できる市場規模を勘案すると、インパクト投資への期待金額「50万円以上」の層(=世帯年収630万円以上、または、世帯金融資産1,400万円以上の層)が、顧客開拓の重点ターゲットセグメントになるのではないか。
(出所:SIIFの調査結果PDFの23P、29P)
上記について、皆さん、どう思われますか。
既存の金融機関の目線で考えれば、いや、一般的な経済合理性で考えても、コストの観点から、大口のお客様を狙っていくというのは、よく分かる話です。その方が、ビジネスとして成り立たせることが簡単だからです。
しかし、セキュリテの通常のファンドでは、あえてそこを狙ってはいません。
小口でいいので、たくさんの方に、参加していただきたいと思っています。
事業者さんに同じ1,000万円をお届けするとしても、1人の方からの1,000万円よりも、1万円ずつ1,000人の方からの1,000万円の方が、その後の事業推進への力が圧倒的に大きいと信じているからです。
私にとってのセキュリテは、小学生の時に読んだ「スイミー」の小魚たちのような、ドラゴンボールの「元気玉」のような、ラグビーで言う「One for all, All for one」のような。まさにそういうようなサービスです。
ただ、話を戻すと、それを実現するのは、本当に簡単ではありません。
当社は間もなく創業20年を迎えますが、20年経っても、周囲に同じようなことをやっている会社はほぼありません。
いわゆるクラウドファンディングの会社は複数ありますが、金商法に則った投資のファンドで、個人からの小口出資で、投資対象が地場の中小企業で、等々となると、どうでしょう。
これまでも、真似されることはよくありましたが、簡単に成功できる、簡単に儲かるビジネスではないからこそ、当社は当社の立ち位置で事業を続けてこれたのかな、と思います。
長くなりましたが、今回の調査の結果を見て、改めて、当社は当社のやり方で、会員の皆さまの思いが込められた温かい資金を1口1口積み上げて、社会課題の解決のために奮闘する事業者の皆さまへ届け、インパクト投資の市場を広げていきたいなぁ、と思いました。
最後に、せっかくですので、現在募集中のファンドの中から、一つ、インパクト投資におすすめのファンドをご紹介します。
■ミャンマー農村ラストマイル配達ファンド■
本ファンドは、ミャンマーの農村部で、新たな金融と流通を創る社会起業家の挑戦を応援するものです。
▶ファンド詳細ページはこちら:
このファンドについては、また後日、詳しく紹介したいと思います。
ご関心のある方は、ぜひ、ファンド詳細ページをご覧になってみてください。
(ミュージックセキュリティーズ・杉山)
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