ゆっくり、いそげ?~セキュリテ自由帳~ 2019年01月

ゆっくり、いそげ?~セキュリテ自由帳~

sugi2019年1月27日 17:00

木桶職人復活プロジェクト

岐阜の山川醸造さんが集めた「木桶仕込みのグルテンフリー醤油ファンド」の資金で、いよいよ木桶がつくられるということで、小豆島まで取材に行ってきました。

木桶づくりの現場は、小豆島のヤマロク醤油さんにありました。
岐阜のお醤油屋さんの桶を別のお醤油屋さんがつくる、不思議に思いませんか?

ヤマロク醤油は、山川醸造さん同様、木桶仕込みの醤油をつくる数少ない醤油蔵の一つです。昔は、醤油や味噌、酢、味醂、酒など和食の基本となる調味料は木桶でつくられていました。しかし、今ではその数は激減し、醤油についていえば、木桶仕込みの醤油は全体の1%にも満たないそうです。

そうなると当然、桶をつくる会社も減少し、今では醸造用の大きな桶を製造できる桶屋も全国で1社のみとなり、その1社がやめてしまえばどこにも発注できなくなってしまいます。

木桶の寿命は、100年から150年程だそうです。今、木桶仕込みの蔵で使われている桶は、多くが戦前に作られたもので、今後50年の後には、そのほとんどが使えなくなってしまいます。そうなった時に、もし木桶をつくる技術が失われていたとしたら、孫やその先の世代は、本物の木桶仕込みのお醤油をつくることも、味わうこともできなくなってしまいます。

そうした状況に危機感を覚えたヤマロク醤油の山本康夫社長が中心となり2011年秋に立ち上げたのが「木桶職人復活プロジェクト」です。最後の桶屋さんに、自ら「新桶」を3本、(借金をしてまで)発注し、2012年1月には地元の大工さん2人と一緒に弟子入りし、その桶を使って、作り方を直接教えてもらったのです。

その後、毎年1月に自分たちの手で新桶を作り続けています。今では山本さんの呼びかけに全国の桶仕込みをしている醤油蔵や酒蔵が集い、共同で桶づくりに取り組んでいます。

「小豆島 木桶職人復活プロジェクト」
http://yama-roku.net/yamaroku/oke-project.html


今回、セキュリテファンドを活用した山川醸造さんも、この取り組みに賛同し、ヤマロク醤油さんに新桶の製造を発注したのです。

~・~・~

こうした背景については、知っていました。しかし、現場に入ってみて、その雰囲気にびっくりしました。そこには全国から人が集まって、実に真剣に、楽しく、木桶づくりに取り組んでいました。

今年は、山川醸造さんの他、秋田の酒造や愛知の醤油蔵などから発注があり、ヤマロク醤油さんの分含め、7つの新桶をつくる予定だったのですが(その後、もう一つ増えたそうです)、現場には、他にも複数の醸造元や関連する業界の方が入れ替わり駆けつけていました。私のように本当に短期で取材や見学に来る人もいれば、長期にわたって合宿をしながら、製造技術を習得される方もいらっしゃいました。

木桶の寿命は長いですが、長く使うためには、修理などのメンテナンスも必要になります。自分たちの桶のことをよりよく理解し、何かあった時には自分たちの手で直せるように、と皆さんお考えのようでした。

正直言ってしまえば、瀬戸内海にある小豆島は交通の便が悪いです。どうやって行っても、最終的にはフェリーに乗らないといけません。飛行機で行っても、新幹線で行っても、例えば、私の住む千葉市からだと、結局7-8時間はかかります。

それでもこれだけの人を引き付けるのは、「木桶仕込みの伝統を残したい」という純粋なパッションと、何よりこのプロジェクトを推進しているヤマロク醤油さんや仲間の皆さんが、本当に気持ちよく人を受け入れ、優しく、惜しみなくそのノウハウを教えてくださるからに他なりません。

私自身、取材という名目での出張でしたが、実際には様々な作業を実際にさせて頂き、大変貴重な機会を頂きました。短い時間でしたが、参加者の皆さんから、いろいろなお話をお聞きし、私にも自分の役割を与えられたと考えています。それは、この取り組みを多くの方にご紹介すること、そして資金調達のお手伝いをすることです。

セキュリテの事業者さんの中にも、今後新桶を発注したい、という酒蔵や醤油蔵がきっと複数いらっしゃるはずです。しかし、木桶は決して安くはありません。新しい桶をつくるには、「車一台分」ぐらいの費用がかかります。そうした時に、山川醸造さん同様、セキュリテのファンドをご活用頂けるよう、できる限りのお手伝いをさせて頂きたいと思います。セキュリテを既に活用している事業者さんに限らず、お気軽にご相談頂ければと思います。

今回の取材の様子は、動画にまとめて後日公開しますので、どうぞお楽しみに!
まだ未確定ですが、みんなで作った新しい桶が、小豆島から、岐阜の山川醸造さんに届いて、初めての仕込みが始まるところまで、できれば追っかけたいな、と思っていますので、ぜひご期待ください。

最後に、山川社長から投資家の皆さまに向けたメッセージも頂いてきましたので、ご紹介しますね。



以下、写真も何枚かご覧ください。

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(その日いたメンバーで集合写真。前列真ん中の赤いジャンバーを着ているのが山川醸造の山川社長、その右がヤマロク醤油の山本社長、左が山川かなこさん)​

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(現場の楽しい雰囲気が伝わる1枚)

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(竹釘づくり。小学校の頃、鉛筆をナイフで削ったのを思い出しました)
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(竹箍(タガ)の下に入れる芯に縄を巻き付ける作業。みんなで声かけながら楽しく。でも見た目よりキツかったです)
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(タガの竹の表面を軽くバーナーであぶることで、編み目がキュッとしまります)
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(桶の板の側面にメッセージ。桶が壊れない限り、今後、このメッセージを見ることはありません。100年後の未来に向けてのメッセージです。テレビ取材も入っていました。左は山川醸造のかなこさん、右は秋田の酒造から来ている期待の新人さん)

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(底板を打ち込む作業。山川さんもしっかり参加)

(ミュージックセキュリティーズ・杉山)
 

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sugi2019年1月20日 21:06

糸魚川の酒蔵

2019年最初の出張は、新潟県の糸魚川市でした。
購入型クラウドファンディングサイト「MOTTAINAIもっと」で展開中の「蔵元応援キャンペーン」で、糸魚川信用組合のサポートで、糸魚川市から新たに3つの酒蔵が取り組みを開始するのに合わせ、行ってきました。
糸井川には5つの酒造があるそうですが、人口が約4万3000人ということを考えると、かなりの酒どころと言えそうですね。

それぞれに特色のある取り組みになっていますので、ぜひチェックしてみてください。

~根知谷で生きる~ 渡辺酒造店の気候風土を映し出したドメーヌスタイルの地酒の真髄プロジェクト 
渡辺酒造店の現当主である6代目の渡辺吉樹代表は「根知谷の自然か育んだ米の特徴を生かし、気候風土を映し出した地酒の真髄を追求したい」と米作りから醸造まで一貫して行う日本酒造りという新たなビジネスモデルで、業界の常識に挑んでいます。
昨年、根知谷を訪れ、地元を応援してくれる仲間をつくりたいという想いで蔵併設直売所『豊醸蔵』をオープンしました。その際には、セキュリテを活用し「糸魚川 根知男山 豊醸蔵ファンド」を募集、現在、ファンド運営中です。

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糸魚川大火の復興へ! 200年の時を超える『謙信』の蔵-池田屋酒造
『謙信』を醸す池田屋酒造は、新潟県の最西端・糸魚川市にあります。
糸魚川産の酒米「越淡麗」を使い、今まで醸された新潟清酒とは一味違う「豊潤旨口で白濁としていない綺麗な味わい」を表現した自信作『謙信』を全国各地に届けることが、糸魚川大火から未来へつながる真の復興へつながると信じ酒造りを続けています。

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“亥年”に”5人の猪また”が造る全量地元蔵人の栽培米の純米吟醸!猪又酒造プロジェクト
装いも中身も既成概念にとらわれない新しいエッセンスのオルタナティブ純米シリーズ「サビ猫ロック」を醸す猪又酒造。平成最後の仕込みの今年、酒造りをしている5名全員の苗字が偶然にも「猪又と猪股」、干支の「亥年」であることを記念して、限定酒「INOMATA'S」をつくります。「猪」にかけた新デザインのラベルは今回限定!この機会を逃すと手に入れることは出来ない正に超レアアイテムをお届けします。
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さて、こちらが今回の出張で手に入れた品々です。お酒は、3本同時に飲み比べたい欲求はあるものの、実際にはやっぱり1本ずつ空けていくことになりますね。今月は家で新潟のお酒を楽しみたいと思います。

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