お知らせ 途上国未電化家庭用太陽光システムファンド

2018年2月6日 07:09

「BOPビジネス」というものについて思うところ

きょう (もう昨日ですが),JICAで「SDGs時代における貧困層を巻き込んだ途上国発インクルーシブビジネス セミナー」なるものがあり,参加してきました.インクルーシブビジネスとは,BOP層の人々をインクルーシブにするということを強調した表現です.
 
プレゼンテーションをきいてわかったのは,「JICAに対する提言」を行う調査の結果報告だったということでした.また,フロアから発言した人のほとんどは研究者,大学の先生,コンサルタントで,BOPビジネスを実際にやっている人で発言したのはわたしだけでした.ということで,いろいろフラストレーションが残る(笑)ものでしたが,(ある程度わかっていたとはいえ) 援助関係者との認識の違いが浮き彫りになったという点では収穫でした.
 
以下,わたしの BOPビジネスに対する私見を,かいつまんでご紹介いたしましょう.
 
BOP層の人々のくらしと経済

BOP層の定義はともかく,彼らは「援助」で生きているわけではありません.彼らは彼らの周りの経済の中で生きているわけです.愉しいことも苦しいこともいろいろあるでしょうが,われわれと同じ人間です.いろいろ制約はあるかもしれませんが,ざっとその8割〜9割(印象ですが)は,人間としての生活を送っています.先進国の人の定めたBasic Human Needsに達しない人も多いわけですが,だからといって,生活のために何らかの仕事をして,ちゃんと欲しいものをその稼いだお金で買っています.その意味で「正常」で ある意味「健全」であるわけです.
 



BOPビジネスは,彼らの関与するビジネスであるわけですね.先進国のビジネスに彼らをインクルーシブする,というのは「おこがましい考え」で,彼ら自体がBOPビジネスを主体的に行っているわけです.途上国の村々のキオスクなどはその典型ですね.彼らは,みんな起業家でビジネスマンです (一方で,援助関係者は,コンサルも含め,自分でビジネスを行った経験のない人がほとんどです.博士号を持っている人は多いのですけどね).
 
 
 
もっとも,われわれが興味があるのは,「先進国企業が関与する」BOPビジネスであるわけですね (きょうのセミナーはそうではなく,むしろ途上国の社会企業を どうJICAがサポートしていくか?という点のようでした).わたしは,それが「経済原則に乗らない領域」であってはビジネスで行うことの意味がないと思っています.
 
わたしは,国際協力を,JICAのような公的援助機関と,民間企業が「ビジネス」を通じて行う場合の違い(一種の棲み分け)は,前述の「健全」な部分を「ビジネス」が担い,そうでないところを,公的機関がサポートするというアプローチであるべきだと思っています.再度繰り返しますが,BOP層の人々は貧しいですが,大多数は(やや歪んでいる面はありますが)健全な形で経済に組み込まれていると思います.その健全な部分が,ビジネスの対象となるわけですね.わたしの行うソーラーホームシステム(SHS)による電化という分野は,まさにそうです.



一方で,「まだ」健全な形で経済に取り込まれていない(外部不経済という言い方をすることもあります)部分には,公的機関の関与が必要となるでしょう.そして,それは徐々に「内部化」されていくことが望ましいでしょう (それが難しい分野もありますが).SHSの普及の初期段階に,(全額でなく) 初期費用の一部を公的資金で補助し,徐々にそれを撤廃していく,というようなアプローチですね.バングラデシュのSHSプログラムはそうなっています (きょうアジ研の人が,サステイナブルに(!)補助金に頼るビジネスを主張していましたが,「え?!」でした.外部不経済が解けない分野は,たしかに公的資金で行うべきですが,それに「ぶらさがる」ビジネスのことなのでしょうか?).
 
ただ,この「健全な」分野に,不用意な「介入」が行われるケースもあります.わたしのSHSの分野では,たとえばミャンマーの政府による「介入」のケース や,大企業のケース などがあります.通常,市場で販売されている製品が,無償で配布されたなら,それは「健全な市場を破壊」する暴挙です.横で無償配布されているのに,誰がお金を出して購入するでしょう?善意に解釈するなら,それを行った(大きな力を持った)人は「いいことをした」と信じて疑わなかったのでしょうが... このような場合,よほど慎重に提供する対象やその方法を選ばなければなりませんが,すくなくともわたしの見る限りは,そのような「配慮」に関する記述は見当たりませんでした.
 
わたしの知っているインドネシアの例では,政府が無償配布した大量のSHSが,すぐに市場に横流しされたり,使えなくなってもだれもメインテナンスをしない状態が多数みられたそうです.自分でお金を出して買わなかったものに,人々は意味や価値を見いださないのでしょう.「施し」は人の尊厳を傷つけます.さらには「援助慣れ」というイヤな言葉もあります (JICAの人は痛感していると思います).一方で,ビジネスは,あくまで対等なディールであることを再認識したいものです.
 
いろいろ批判的な物言いもしましたが(比較することで論点が明確化できるものですから)わたしは,ビジネスという手法を使うことの意味は,このようなところにあると思っています.
 
最後に「SDGsビジネス」という言い方も 最近目にしますので,それについても一言.
 
SDGsは,国連の定めた持続可能な開発目標(SDGs)で,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された 2016年から2030年までの国際目標です.持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています.本当は先進国も対象なのですが,主眼は途上国においたものです.
 
日本で,BOPビジネス→SDGsビジネス と使われ方がシフトした背景には,JICAがそのように日本企業支援スキームの名前を変えた(実は,その裏にはBOPビジネスの成功例が少なく,より高所得者層を目指すものを含めれば,実績が上がるだろうという目論みがあります)ことがあるのですが,同時に,コンセプトを 一段階上げた(?)というような感じで話される人も多いようです.
 
わたしは,SDGsに異を唱えるつもりはまったくないのですが,途上国開発というものの主軸であるビジネスや経済という面から見たとき,SDGsビジネスという言い方は,かなりミスリーディングだと思います.盲目的に「お墨付き」として使うのは,ちょっといただけません.
 
「地球上の誰一人として取り残さない」というコンセプトは「美しい」し,政府や援助機関の方針として掲げる意味はあると思います.しかし「ビジネス」とは相容れない側面が強いでしょう.ビジネスでは,上記のように「健全な」分野で,さらに「ターゲットを絞った」アプローチが採られるでしょう.これがわたしの「違和感」です.
 
また,たとえば途上国の経済を動かし,開発に大きく寄与してきた製品に「携帯電話」があります.これを使ったフィンテックなども,イノベーションとして語られることも多いのです.ですが,この「人々を動かしてきた(人と繋がっていたいという)欲求」は,SDGsの17のゴールには,なぜか含まれていません.わたしは,このような「人々を動かす」ものをトリガーとして効果的に活用することこそ,SDGs達成への強力なアプローチだと思っています.
 
わたしのビジネスでは,それが TVへの欲求 になるわけですね.
 
松尾 直樹
 
 

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2018年2月4日 19:04

未電化状態の人々の暮らしの実態ってどんなのだろう?

ついに,サポーターの方々が202人となりました!お一人平均で,2.5口もの出資を頂いており,18日間で目標の 1/4(26%)が達成されたことになります.どうもありがとうございます!
 
1/25に,”Escaping Darkness—Understanding Consumer Value in PAYGo Solar” というレポートのことをご紹介しました.これは,ローカルな人々にとって「実態として」ソーラーホームシステム(SHS)や,その分割払い手段であるPay-As-You-Goの「実態」を,アフリカ4カ国(コートジボアール,ガーナ,ケニア,タンザニア)でインタビューベースの詳細な実態調査したレポートで,かなり興味深いので,その概要を紹介いたしましょう.

わたしたちの行おうとしていることは,途上国の貧しい人にものを販売するビジネスであるわけです(援助でなく対等なビジネスなのですね).たとえば3万円の小売価格は,彼らにとって非常に大きな出費であるわけです.ポンとキャッシュで払えるレベルではありません.でも,彼らも,夜間照明に灯油を使っているわけで,その出費は年間数千円〜1万円程度です.もちろん,すこしずつたとえば毎週購入しているわけです.言い換えると,この程度の出費を分割で行うことができるなら,彼らだって支払うことができるわけです.
 
それを可能とするのが,Pay-As-You-Goという仕組みです.この技術は,「支払った分だけ使うことができる」という技術で,ユーザーが(お金に余裕のあるときに)前払いした分だけ,その金額に応じて,使うことができます(支払わなければシステムがOFFの状態になります).途上国の一部の国々では,携帯電話による支払いができ,これと組み合わせることで,人口密度の低い国々でも,分割払いシステムを,より有効に機能させることができます.われわれのSHSでも,もちろんこの技術を搭載いたします.
 
このレポートの調査結果の概要は,以下の通りです:
 
このレポートで調査対象となったプロバイダーのPAYGモデルは,次の2つです:
  • 日単位の支払い(携帯電話ウォレット引落)×1年間 [プロバイダー例: M-KOPA,PEG].頭金は約3ヶ月分.90日間支払いがないと(その間は使えない)再開するための追加料金が必要.支払期間が1年間の場合でも「中断」期間があれば,ユーザーは(繰越金や追加利息なしに)それを延ばすことができるという柔軟性がある.
  • 月単位の支払い×3年間 [プロバイダー例: BBOXX,Off-Grid Electric].頭金がないケースもある.支払いは毎月一括である必要はないが期日から3日以内でないとシステムを止められてしまう.支払いが滞った場合には,その分を支払い終えるまでシステムを使うことはできない (ただ追加利息はない).数ヶ月支払いが滞った場合には差し押さえもあり得る.3年の期間を設定する場合には,毎月の支払いはかなり低く抑えられる.支払い後 10年目まで,月単位のサービスフィーでプロバイダーが保守をしてくれるケースもある.
 
1年と3年の支払期間の差異を特徴付けたものが下の表です:
 
 
また,価格125ドル,頭金20ドルのSHSの場合の,1年,3年,5年の支払期間のケースのユーザーのシミュレーションは以下の通りです.インフレ率の高い途上国での利息支払いもバカにならないですね:
 
 
調査のサマリーは,以下のようなものとなります:
 
1.ソーラー製品購入の最大の動機は,文字通り「さまざまな暗闇」から逃れるため
SHSの利点は,わかりやすい種々の非常に大きなライフスタイル改善はもちろんですが (この点は強調しすぎることはありません),その中で,印象に残ったものとしては,次のようなものです:
  • TVは,より広い外界と繋がる窓になっている;
  • とくに親の責務として子供達にその窓を見せてあげたい;
  • SHSが使えることで,プライド,自分の価値(dignity),自分の業績(achievement) といったものを強く感じる;
  • 訪問者にSHSを見せることで,より強いもてなしができ (携帯電話充電などもしてあげられる),一種の顕示欲と共にとてもうれしい.
 
2.長期の支払いによって高価なものも手に入る
これはPay-As-You-Goのもっとも重要な点で,それが再確認されました.
 
3.SHSの所有欲が強い
わたしもバングラデシュで学びましたが,レンタルや,隣から電気を分けてもらうサービス型より,一時的に支出が多くなったとしても,自分で所有したいという気持ちが強いようですね (サービスモデルへの理解が薄いようです).所有者は,保証期間に期限があることも理解しているとのことです.
 
4.エネルギー支出は増えるが満足度と優先度は高い
ケニアの場合,典型的なケースでは灯油代が月額2〜4ドル.PAYGの場合には6〜15ドルと,2〜3倍の支出.ただ,この追加負担が耐えられないと答えた家庭はなかったようで,食費,教育費,医療費に食い込むことなく支出可能で,また十分にその価値がある(よろこんで支払う)ということのようです.
SHS購入の判断は,コストの問題ではなく,ライフスタイルを大きく変えたい,という欲求ということでした.
ほとんどすべてのSHS所有者は,基本システムから,TV付きにアップグレードしたいと答えていました.
また,エネルギー支出の大きさは,所得にあまり関係ないということでした.
 

また,灯油(ケロシン)以外にも,SHSで代替できる支出がいろいろあるようです.一方で,灯油の比率は減ってきているようですね.
 
 
5.購入の意思決定は主として男性が行う
言い出しは奥さんでも,やはり意思決定は旦那さんが多いようですね.奥さんも,たとえSHSへの出費によってやりくりが難しくなっても文句は言っていないようです.
 
6.支払いのパフォーマンスはいろいろな要素で決まる
単純入手が容易かどうか,というだけでなく,いくつもの要素が関係するようです:
  • 支払いが滞ったときのキャッチアップ.支払いタイミングに柔軟性を持たせることでこの点は緩和でき,送れたとしてもどうにかして支払いを完了させようとします.
  • 想定外の出費.短期間の支払い猶予を設定することで,この点を緩和できます.
  • 契約事項の不十分な理解.売手と買手の相互不信に繋がらないようにする必要があります.
  • 支払い回収手続きの管理.携帯電話による支払い回収が用いられる場合には問題ないが,知られていない場合には支払いが滞る可能性が高くなる傾向にあります.
 
7.PAYGによるファイナンスは,貸手と借手にとって通常の融資と比較して,リスク評価がむつかしい
PAYGはまだ新しい方法なので,貸手にとって,リスクを評価する十分な経験やデータが不足しているという課題があります.借手によっても,契約の内容をきちんと理解することが難しい場合もあり,それがリスクに繋がります.
 
その他,携帯電話充電やTVによるサッカー観戦などをビジネスとしているケースもいくつも見られたと言うことでした.ビジネスキットとして販売されているケースもあり (SHS支払い率は良好),未電化費率が高い村の充電サービスで月額35ドルもの収入もあったとのことでした (ただソーラー製品普及や,西アフリカでは社会的慣習の面から難しいケースもあるようです).
 
もうひとつ,興味深いデータがありました.「自分をgood payerと思うか?」というデータです.PEARは,TVをトリガーに普及させようとしていますが,資金回収リスクは比較的小さそうですね.
 
また,いろいろ興味深いレポートがありますので,機会を見つけてご紹介いたしましょう.
 
PEARカーボンオフセット・イニシアティブ
松尾 直樹
 

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2018年2月1日 10:56

カーボンオフセットって どんな意味があるのだろう?

このファンドが立ち上がってから,約2週間が経ち,今現在で186人の方のサポートを得ています.投資額で目標の約 1/4 に相当し,またうれしいことに,ひとりあたり 平均 2.5口 も出していただいています.本当にどうもありがとうございます!
 
このファンドの 特典 になっている「カーボンオフセット・サービス」ってどんなものだろう?と疑問にもたれている方がおられますので,今回は,ここで,その背景や考え方から,簡単に紹介したいと思います.社名(株式会社PEARカーボンオフセット・イニシアティブ)にも入っていますね.
 
「オフセット」とは「相殺(そうさい)」を意味します.
 
みなさんが,なにかの活動をされると,ほとんどの場合,直接もしくは間接的にCO2を排出します.電気などのエネルギーを使う場合,車に乗る場合 などはわかりやすいと思います.みなさんが購入したものも,エネルギーを使っていますので,CO2が出ているわけです(化石燃料は炭化水素ですので,燃やすとCO2が出ます).
 
気候変動問題あるいは地球温暖化問題とは,そのCO2をできるだけ出さなくて済む社会の構築なしには,解決しません.もうすこし具体的には,パリ協定のゴールである「産業革命以前から2℃の気温上昇に抑える」ためには,およそ2100年には,排出量を(吸収活動も合わせて)ほぼゼロにする必要があります.このファンドは「途上国に明かりを」という活動ですが,大切なのはそれが「再生可能エネルギーによって」という点です.すなわち CO2フリーなエネルギーの社会構築や経済開発の実践例であるわけですね.
 
世界のCO2排出量は まだまだ伸び続けています,長期にわたって減ったことはありません(オイルショック,世界大戦,世界恐慌などのときに,数年 減ったことはありますが...).
 
ファンドのページのいちばん下の方に書いているように,日本人は年間で,生活関連のCO2を 2トン強 平均で排出しています(カーボン・フットプリントと呼ぶこともあります).これを大幅に減らすことは非常に難しいです.これはいわば CO2のダイエットで,体重のダイエットと同じくらい難問です.
 
ただ,それを大幅に かつ簡単に,低コストで減らす方法があります.それが「カーボンオフセット」なのですね.
 
カーボンオフセットとは,他の人が CO2を減らしたら,それを「購入」することで,自分が削減したとみなすことです.

「え?それはズルじゃないの?」と思われるかもしれませんが,そんなことはありません.みなさんは,たとえば会社に行くのに電車を使われるでしょう.これは「お金を出して」移動というサービスを享受していることです.自分で肉牛を飼育せずに,牛肉を買ってきますよね.すなわち,自分で行うのはたいへんな場合,他人にそれをやってもらって,その行為に対価を支払うわけです.これがすなわち「経済活動」にほかありません.言い方を変えると「分業」であるわけです.
 
このような「経済」に乗せることで,われわれの活動は飛躍的に大きくなりうるわけです.もうひとつのたいへんなことである「CO2の大幅削減」だって,このような経済メカニズムを活用することができ,むしろそれによってはじめて,「コスト効果的」に「大幅な」削減が可能となります.
 
他人の排出削減分の移転の際にやりとりするものが,「排出権」と呼ばれるものです.
 
企業にCO2排出規制が課せられているヨーロッパでは,排出権取引制度が導入され,排出できる権利として「排出権」が市場で取引されています.
 
京都議定書の下では,途上国でCO2排出削減を行い,それを「排出削減クレジット(排出権)」とすることで,大きなビジネスが生まれ,途上国での排出削減活動も進みました(わたしはその第一号に寄与しました).
 
一方で,規制がないけれど,自主的にCO2を減らしたい,という場合にも,このように他の人が減らした証(排出削減クレジット)を購入することで,自分の排出量を相殺(オフセット)させることが可能です.これが「カーボンオフセット」であるわけです.
 

ただ通常の人は,それをどうやってできるのかよくわかりません.そのため,そのようなサービス(顧客のカーボンオフセットを代行するサービス)を行う カーボンオフセット・プロバイダーというビジネスが生まれるわけです(日本にも,プロバイダーのカーボンオフセット協会があります.PEARもその一員です).
 
われわれは,本ファンドの立ち上げにあたって,どのような特典が望ましいのだろうか?と考えました.広く関与してもらいたいということから,一口を1万円におさえました.またセキュリテは製品購入型クラウドファンディングではないため,投資額相当の特典をお付けすることはできません(金銭的リターンとしてお返しするわけです).一口10万円なら,SHSそのものを特典にすることもできたのですが,1万円なのでそれもできません.
 
そのような制約の中で,このファンドに投資する人は,どんな人だろう?という問題設定をし,きっと社会的な貢献をしたい,エネルギーや地球温暖化問題への関心が高く,自分でも省エネなどに気をつけている方が多いのでは?と思いました.
 
したがって,「カーボンオフセット・サービス」を 特典として ご提供することにしたわけです.
 
特典を受けた方にとって,直接 目に見える 便益はありません.ただ,地球環境に対して,CO2削減という「貢献」をしたという 一種の満足感が,ご提供できるものです.形としては,そのカーボンオフセットを行ったという証書(PDFですが)は,われわれが発行いたします.
 

もちろん,PEARはカーボンオフセット・プロバイダーですので,自己の所有する排出削減クレジットの在庫管理はきちんと行っており,それを用いて,たとえば一口投資いただいた方には,0.5トン分の排出削減クレジット(削減したという証)を割り当て,それを,償却いたします(もう使えないという処理です).その手続き終了後に,証書を発行いたします.
 
PEARは,この仕組みを,日本に普及することで,日本の方々が手軽にオフセットを行って(たとえば一日50円くらいを支払って)カーボンフリー(!)な生活を送っていただきたいと考えて設立いたしました.そして,その資金が,途上国でのプロジェクト(本ファンドの対象となっているようなプロジェクト)の資金源となることを企図していました.
 
残念ながら,日本人のメンタリティーは,そこまで成熟してこなかったので,個人向けカーボンオフセットは拡がっていってはいませんが,みなさんには,今回は「特典」として,その一端でも感じていただければさいわいです.
 
あまり更新していませんが,ブログにすこし考え方の説明もしていますので,よろしかったら,ご覧下さい.
 
松尾 直樹
 

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2018年1月25日 11:22

広く途上国の貧しい人々に普及・使ってもらうということ

この「未電化の人々に電気を届ける」というBOPビジネスのファンドが募集を始めてから,ちょうど一週間経ちました.
 
「人気」ファンドにランクされ,現時点で125人もの方々にサポートしてもらい,目標調達額の16%が集まってきているという状態です.出資いただくと決断された方,本当にありがとうございます!
 
先日,Global Off-Grid Solar Forum and Expo に参加してくるということをお話ししましたが,なんと,あの豪雪で,成田空港で 飛行機の中に10時間以上飲まず食わす (トイレも行かず) の状態で閉じ込められ(5時PM〜3時AM)結局 参加できませんでした... いままで65カ国程度訪問し,酸素マスクが降りてきたなどいろいろ経験しましたが,これは初めての経験でした.
 
そのとき,持って行って紹介する予定だった 現行の SHS EGAO の技術資料は,まだ最終デザインが完成していないため,投資家限定ニュースにて紹介したいと思います.

モデルの表だけお付けしますね:

このプロジェクトは,ビジネスを通じて,11–12億人も「残されている」電気にアクセスできない人々に電気を届けることで,それを用いて,彼らがより強く立ち上がる機会を提供したい (下の写真のような暗い照明下の生活を甘受せざるをえない状態をなんとかしたいということですね),という目的で始めました.不安定な電気の人々も対象としているので,その2倍程度の潜在ユーザーがいることになります.ということで,究極のゴールは1億人!と大風呂敷を広げています.
 

言い換えると,大きく展開してこそ,意味があるわけですし,それを実現化するためのビジネス戦略を考える必要があります.逆に,それができる (可能性がある) ところが,援助でなくビジネスというツールのよさでもあるわけです.
 
ある非常に優秀な途上国国際協力の専門家の方に,次のような質問を受けました:
 
僕自身が計画をざっと見て考える一番のリスクは「盗難」や「故障」です。その場合の責任はどうなるのか、ですね。
特にパネルは日中常に外に出しておかれますし、ある地域に集中してパネルが置かれているとなると…どれくらい発生するかは別にして、数が増えれば増えるほど盗難のリスクは高くなり、事件はまず確実に発生するだろうと予想します。
その時に、盗まれたパネルの保証はどうなるのか、あるいは保険が掛けられて代替品が供給されるのか...
 
これに対するわたしの返答は,以下の通りです:
 
われわれのビジネスの基本的考え方は,潜在ユーザーへの販売は,基本はディストリビューターに任せるということです.集金を行うのもそうです.われわれのビジネスは,ディストリビューターへの「卸販売」になります.そうでなければ,大きく展開することは難しいでしょう.(以前は ディストリビューターを絞る考えでしたが,いまは広く誰でも... という考え方です.ODMというむこうブランドでの販売も行います)
 
故障への対処は,製品保証(製品の交換)という形で対応いたしますが (実際はたとえば5% 注文より多く提供します),これは,対ディストリビューターです.
対ユーザーではありません.対ユーザーはディストリビューターが行います.
 
盗難への対処は,基本はユーザーの責任問題です.また,盗難された場合に,その保険サービスを設定するかどうかは,ディストリビューターの判断となります.
 
ただ,それらの懸念に,製品供給者として,なにかできるか?という点は別の問題です.
 
今回の製品に搭載する予定の PAYG (Pay-As-You-Go) 機能にはそこまで搭載しない想定ですが,次の製品には,遠隔でシステムの稼働状況などをチェックできる機能を搭載することも考えています (いま考えているのは,シンプルに「払った分だけ使える」ことを,ディストリビューターが操作できる機能を,技術的に搭載することです)
 
もちろん,故障が起きにくいような設計にはなっています.各種保護回路や,現地でエンジニアがいなくても設置ができるような設計ですね.
 
盗難に関しては,屋外灯(固定)のような使い方や,携帯灯も付属し (これはむしろモバイルバッテリーとしての機能が重視されそうですが),暗黒の状態よりはるかに盗難されにくくなるかと思います.
 
一方で,ディストリビューターを介さずに,われわれの現地エイジェンシー(代理店)が,直接 顧客に販売する場合もありうるでしょうが,それが PAYGサービス(ローンのようなサービスになります)を提供するかどうかは,代理店との議論に依存します.これは今後の 個別の代理店との議論の中で詰めていくことになりますね.
 
簡単に,いまのわたしの考え方を紹介しました.その他のビジネス上の工夫は,投資家向けニュースの中などで紹介していきたいと思っています.
 
最近,”Escaping Darkness—Understanding Consumer Value in PAYGo Solar” というレポートがリリースされました.興味深い内容ですので,またかいつまんで内容などをお知らせしたいと思います (ほかにもいっぱいレポートがありますので,それらもまたご紹介します).
 
特典でご提供するカーボンオフセット・サービスに関するご質問もいただいているようなので,この次の発信のときにでも,ご説明いたします.
 
Stay in touch with us!
 
松尾 直樹
 

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2018年1月20日 18:23

途上国開発問題,気候変動問題,エネルギー問題にご関心のある方々へ

途上国開発問題,気候変動問題,エネルギー問題などにご関心があり,また何らかの寄与をしたいとお考えのみなさん.

これは,最初の EGAOプロジェクトからのメッセージです.

まだ募集をかけてから実質3日強しか経っていないのに,もうすでに82人もの方々にサポートをいただいています (「人気」のタグが付いていました).わたしの知り合いの方々に動員をかけたわけでもないのに...
みなさんの強いご関心をひしひしと感じ,なおいっそう,プロジェクトを成功させなければ... とつよく噛みしめています.

最初ですので,私自身と,この事業への想い...を,すこしお話しいたしましょう.

わたしは大学大学院は理論物理学という浮き世離れした学問領域で博士号をとった人間ですが,(いまでいうポスドク問題のもっとも厳しい分野というのもありますが) そのあとで,気候変動問題を自分のライフワークに定めました.リオでの地球サミット(1992年)の直前に,(財)日本エネルギー経済研究所(IEE)に入り,エネルギーの観点から気候変動問題にシンクタンク研究者として取り組みました.京都議定書採択(1997年末)を機に,(財)地球環境戦略研究機関(IGES)に籍を移し,この分野の国際および国内の政策提言を研究テーマとしてきました (現在はパリ協定のルール策定プロセスが動いており,これにも寄与しています).

その後,京都議定書のルールブック(マラケシュアコードと呼びます)の成立を経て,こんどは新しい国際ルールで活躍しなければならない日本の企業をサポートするというコンサルタントを始めました.京都議定書の国際的市場メカニズムであるCDMの世界第一号方法論獲得など,この分野の草分けとして,それなりに成功したと思っていますが,コンサルタントの限界である「自分の好きなタイプのプロジェクト」へ寄与できるとは限らない... という点を乗り越えるべく,本事業の主体である PEARカーボンオフセット・イニシアティブを立ち上げました.

PEARは,Partnership for Environmental Action with Responsibility の略で,わたしのこの会社に込めた想いを表しています.PEARのWebサイトや,EGAOプロジェクトのWebサイトに,そのあたりを「二つの洋梨」のロゴ
と共に,書いておきましたので,ご覧いただければ幸いです.

EGAOプロジェクトは,四半世紀以上におよぶわたしの気候変動問題やエネルギー問題,それにからんだ途上国開発問題に対し,実際の自分のアクションとして寄与したいと考えたものです.

わたしは気候変動問題屋でもありますが,世の中は気候変動問題への懸念や関心だけで動いていかないこともよく認識しています (それだけ気候変動問題が大きな問題で,また人間活動に大きく絡まった問題であるということもであります.だからやり甲斐があるのですけどね).すなわち,気候変動対策というより 低炭素社会の実現 のためには,(いわばプライオリティーの低い)気候変動問題への関心ではなく,もっとみなさんが大切に思っているものに絡めて,はじめて実効性を上げることができます.

再生可能エネルギーによる途上国貧困層のエネルギーアクセス問題への寄与... というのは,そのために「わたしがやりたいこと」なのです.バングラデシュでは,Grameen Shakti と数年にわたり協力関係にあり,IDCOLという政府機関とともに,彼らの 家庭用バイオガスプロジェクトを,CDMプロジェクトに登録することにも成功いたしました.

(援助でなく) ビジネスで行うことの意味なども,EGAOプロジェクトのWebに書いておきましたが,この活動は「彼らに (いままで抑圧されてきた) 機会を提供する」ということでもあります.加えて「大きく展開しなければ行う意味がない」とも考えています.そのためには,自分が農村に入って汗を流して彼らと共同生活を行うタイプの途上国支援ではダメで,自分たちの役割を製品のサプライヤーとして位置づけ,できるだけ多くのディストリビューション・チャンネルを開拓する... というアプローチとなります (その方法としては いろいろ新しいものも想定しています).

一方で,たとえばユーザーが「電気があるおかげで新しい所得向上手段を生み出す」ためのマニュアルなども用意できたら... などと,彼らの「機会」を最大化し,それが同時に,EGAOの普及,ビジネスの成功に繋がることも,想定しています.

製品は,PV(ソーラー)パネル,バッテリー内蔵のコントローラー,LED照明に加え,照明付き携帯電話用バッテリー,そして 新しい戦略であるTVから成ります.エンターテインメントの少ない彼らにとって TVが次の最大の「欲求の波」になると考え,この「波に乗る」ことで,EGAOビジネスの成功を目指します.そのあたりは,ターゲットとする国々の状況と共に,おいおいご紹介していきましょう.

来週の初めから,香港で開催される Global Off-Grid Solar Forum and Expo に参加し,関係者と議論してこようと思っています.

こちらの『ファンドニュース』では「考え方」や「アプローチ」の概要を,ファンド参加者の方々への『投資家限定ニュース』では,より詳細で踏み込んだ (場合によっては内部的な) 情報などもお知らせしていこうかと思っています.

一方で,この事業にご関心があって,出資以外にも,たとえばご自分の経験等から こうしたらどうか?というサジェスチョンなどがありましたら,ぜひ EGAO のWeb からお知らせいただければ... と思います.(ファンドとしてのご返答はミュジックセキュリティーズさんにお願いすることになりますが),同じ目的をシェアし,事業を一緒になって成功させていこう という方は,ぜひ,よろしくお願いします.

これからもよろしくお願いいたします.

PEARカーボンオフセット・イニシアティブ
代表取締役
松尾 直樹


 

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