お知らせ 途上国未電化家庭用太陽光システムファンド2018年02月

2018年2月28日 16:00

ソーラーホームシステムは電気が来ているところより高い?

貧しいひとは,貧しいが故に さらに高いコストを支払わなければならないことが ままあります.

われわれのソーラーホームシステムも,kWh ベースで考えたら,電力網(グリッドと呼びます)の電気より高く付いてしまいます.電池が必要なこと,ソーラーベースの発電であることから,容易にご理解頂けるかと思います.
 
東南アジアでは,たとえばベトナムは 他の同程度の経済水準の国より早く ほぼ100%近い電化を達成しています (わたしはこれがベトナムの強さに繋がっている要因の一つだと思っています).アフリカや南アジアの国々も,いずれは電化率が上がって未電化状態の村落は少なくなるでしょう.でしたら,それを待ってから,安い電気を使った方がいいのでは?という考え方もできるでしょう.これはいい考え方でしょうか?
 
結論から言うと,少なくとも物価の高いアフリカの場合 (アフリカは製造業が弱く輸入頼みであるため 物価が高いのです),電気が来た場合と比較しても,EGAOシステムは,十分に比較優位があります.
 
アフリカは電化率が低いのですが,電気が近くまで来た場合,まず必要なのは「接続料金」です.日本でも,年配の方は電電公社から最初に電話回線をもらうとき,10万円近くの料金が必要だったのを覚えておられるでしょう.アフリカの電気に関しても,似たような状況で,数千円から数万円もの接続料金が最初に必要となります (電化率が低い国が接続料金が高い傾向にあります).国によっては,これだけでEGAOが十分に買えてしまいますよね.電線の引き込みにさらにお金が要る場合もあります.また,分割払いがどの程度許容されるかも問題ですね.
 

 
もちろん,これは「初期コスト」で,いわゆる毎月の電気代は別です.kWhあたり10円程度の国から,50円程度の国まであります.それから電気製品(電球やTVなど)は別に購入しなければなりません.
 
EGAOは,設計上,通常の使用状況では 5年以上は使えます.もちろん電気代フリーですし,初期費用は分割払いができます.
 
電気が来たとしても,停電がかなりの頻度で起きるケースが多く,またサージという現象で,電気製品がダメになってしまうことも多いのです.停電が困る場合には,ディーゼル発電のバックアップを備えるわけですが,これもかなりのコストを必要とします.
 
それから,忘れがちなのは「機会コスト」です.すぐに電気が来ればともかく,数年程度待たざるをえないケースも多々あります (そしてそれが遅れるケースも非常に多いです).子供にとっての数年間は,非常に大きな影響を持ちますよね.



その他,
  • 明るい「部屋」 (Basic Quality of Life)
  • ケロシン代節約
  • 携帯電話充電費用節約
  • TVを愉しめる
  • ラジオ,扇風機,冷蔵庫
  • 労働効率の向上
  • 家事が容易,明るい台所
  • 灯油やロウソクによる火事防止
  • 屋外の安全
  • 夜間家内手工業等による現金収入
  • 店舗営業時間の延長による現金収入
  • 携帯電話充電ビジネスによる現金収入 
のような多くの機会を,その期間,逸するわけです.


 
ということで,EGAOを購入して,すぐに活用することは,彼らにとって非常に大きな意味を持つのです.
 
松尾 直樹
 

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2018年2月23日 08:39

セキュリテ型クラウドファンディングと社会インパクト投資の親和性

サポーターの方々が 250人を超えました!いまセキュリテのプラットフォームで募集中のファンドで3番目の数になります.どうもありがとうございます!とはいえ,まだ 目標の 1/3 弱 ですので,がんばらなければ...
 
サポーターの人数に増加速度が,最初の頃の勢いが鈍ってきたので,みなさん,お知り合いでこのプロジェクトに興味・関心を持ってもらえそうな人々に,教えて上げていただければ幸いです.
 
 
今回は,われわれが,クラウドファンディングを利用する意味を考えてみましょう.クラウドファンディングは,言うまでもなく,crowd すなわち多くの方々からの資金調達を意味するわけですね.おなじ 2,000万円の資金を調達するのに,ある投資家や銀行などから調達することと比較して,多くの人々にサポートしてもらう「意味」って何でしょう?1,000人の方々にサポートしてもらうことって,一社に投資してもらうより,ずっと素晴らしいことという気がしますよね?
 
それは,とりもなおさず,1,000人の方々といっしょになって この社会問題の解決をシェアすることを意味するからでしょう.まさに「インパクト投資」に合ったアプローチですね.
 
ビジネス的な言い方をするなら,ファンづくりのツールであるという言い方もできますが,みんなで盛り上げて成功させよう,という応援歌をわれわれは受け取っているわけです.
 
昨日の平昌オリンピックのスピードスケートの女子パシュート,とても感動的でした.わたしはサッカーが好きで W杯に観に行ったりもしますが,このような「チームスポーツ」は,個々人の能力限界をチームになることで 何倍にも引き上げることが可能になり,またそれが人々を感動させるのだと思います.クラウドファンディングは,資金調達の一手段であるわけですが,きっと同じ感覚なのだと思います.
 

セキュリテのアプローチは,プロジェクトへの投資型です (リターンはお金です).企業やそのポートフォリオだと対象がぼやけてしまいますし,融資型よりもダイナミックです.寄付型は「施し」になってしまいます.製品購入型も目指すところが違いますね.ということで,われわれはセキュリテのプラットフォームで,また一口の金額を抑え,参加のハードルを下げました (それによって集まる金額のスピードは鈍るかもしれませんが,確実により多くの人にサポートいただけるでしょう.もっとも 平均 2.5口 と みなさんの気持ちの強さが伝わってきます).
 
「きちんとリターンを返す=ビジネスが成功する」ということですので,そのためにがんばります!


セキュリテにはじめての方には,ちょっとファンドの仕組みが分かりづらい という意見もうかがっています.
 
まず,「特典」とは あくまで「おまけ」です.メインは,あくまで金銭的リターンです.そのあたり,Kickstarterなどの製品購入型と大きく考え方が異なります.すなわち,セキュリテでは「特典」は,出資額より意図的にかなり小さく抑えられています (このファンドでは 20% 程度ですね).
 
どの程度のリターンが見込まれるか?という点に関しては,ファンドのページ https://www.securite.jp/fund/detail/4137 の「ファンド情報」をご覧下さい.
 
投資いただいた資金を使ってSHSを製造,その販売益から,みなさんにリターンをお返しするわけです.「分配シミュレーション」のタブの,下の方の表をご覧いただければ,このプロジェクトの場合,事業計画では「110%の償還率」となることを想定しています (源泉徴収で 2% 差し引かれますが).
 
「募集情報」のタブにあるように,ファンドが目標額を集め終わり 成立してから,2年後に,リターンをお返しすることになります.
 
ただ,成立するためには条件があり,それが「リスク」タブの「18. 未成立のリスク」です.製品の具体的受注ができてはじめて,ファンドは成立します.
 
もちろん,未成立の場合には,出資頂いた金額は,そのままお返しすることになります.
 
本当は,このような「ファンド」の契約等に関する説明を,われわれが行うことは望ましくなく (不正確な言い方になるでしょう),上記の説明は,Webに書いてある文面が正確ですので,そちらをご参照ください.そして質問がありましたら,わたしではなく,セキュリテの方まで問い合わせて頂きますよう,お願いいたします.
 
いずれにせよ,せっかくこのプロジェクトという「共通項」を通じてお知り合いになれたのですから,これからもよろしくお願いいたします.

おそらく,このプロジェクトに興味を持つ方は,気候変動問題,再生可能エネルギー,エネルギー問題,途上国の経済発展や国際協力 などにも興味をお持ちだと思いますので,そのあたりのお話しも (けっこう深いところまで) またしていきましょう.
 
松尾 直樹
 
P.S.
来週は 気候変動枠組条約関係の仕事で ボンに行きます.ちょっと間が空いてしまったらごめんなさい.
 

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2018年2月17日 20:02

本質的な気候変動問題対策とはどういったものだろうか?

平昌冬季オリンピック,胸躍る熱戦が続きますね.その中でも,きょうのフィギュアスケート男子の日本のワンツーフィニッシュは圧巻でした.純粋に自分の大切だと思うものに集中することのすばらしさは,スポーツが人々の心を捉えてやまない理由です.わたしたちも,他の分野でしょうが,そうなりたいものです.
 
きょうは,このプロジェクトとはすこし離れて,気候変動問題(=地球温暖化問題)の視点からすこし語ってみましょう.
 
わたしは四半世紀以上,気候変動問題(とエネルギー)の専門家をしてきています.京都議定書にも寄与しましたし,現在のパリ協定の国際制度設計にも寄与すべくがんばっています.
 
実は,気候変動問題の専門家・研究者や評論家的な人は多いのですが,「自分で (個人としても)」何らかの「活動」を行っている人はかなりレアケースです.開発問題の大学の先生もその傾向があります.実際のアクションを起こすことは,自分の「役割」ではないという考えかもしれませんが,せっかく豊富な知識を持っているのですから,できたら「実践」してもらいたい,そういう姿勢を持ってもらいたいものですね.
 
気候変動緩和策とは,ほぼ CO2削減策であり,エネルギー削減アクションを意味するわけですが,そのようなアクションを促進するより,本当は,もっとずっと大切なことがあります.それは,CO2排出が少なくて済む社会の構築です (選択 という表現がベターかもしれません).
 
ん?同じことでは?と思われるかもしれませんが,そうではありません.
たとえば,自動車をベースにした社会を選択するのか?あるいは公共交通をベースとした社会を選択するのか?というのは,CO2削減策として考えるべきものではなく,社会の交通システムをどのようにデザインするか?という問題です.ですが,CO2の意味合いにおいても,非常に大きな意味を持ってくるわけです.
 
すなわち,CO2問題のことを考えなくとも,自然とCO2排出が少なくて済む社会こそ,目指すべき社会なのです.
 
同じようなことは,エネルギー供給システムに関しても言えますね.
 
これから 電気を使って より多くの機会を得ていこうという 10億人を超える人々に,CO2フリーな太陽光エネルギーによる電気を使ってそれを達成できるようにすること,すなわちこのプロジェクトの目指すところも,そのような視座に基づいた活動なのです.
 

松尾 直樹
 

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2018年2月11日 05:54

エネルギーアクセス問題にクラウドファンディングを活用する

サポーターの方が 現在 233人で,目標額の 30%に達しました.スタート以降,ほぼ1日に10人の割合でサポーターの方々が増えています.どうもありがとうございます!人数もそうですが,平均2.5口を超えるということで,みなさんのご期待を強く感じています.
 
さて,きょうは,「エネルギーアクセス問題」すなわち電気やガスにアクセスできない人たちの問題への対処に,クラウドファンディングを活用することのレポート “Crowd Power, Success & Failure – The Key to a Winning Campaign” がリリースされましたので,その概要をかいつまんでご紹介いたしましょう (図表が英語ですみません).
 
いうまでもなく,セキュリテは,事業者にとって広く多くの人から資金調達を行うクラウドファンディングのプラットフォームです (クラウドとはcrowdであってcloudではありませんね).とくにプロジェクトへの投資という形を取り,従来からよくある商品購入型ではなく,また企業への投資でもありません.
 
その意味で,この「途上国未電化家庭用太陽光システムファンド」は,「家庭用ソーラーホームシステムを開発し,途上国貧困層へ電気を届ける」というエネルギーアクセス問題に切り込むプロジェクトの資金調達を,クラウドファンディングで行う一例となっています.
 
類似した事例は,世界でどのようになっているのでしょうか?
 
クラウドファンディングでは,それを行う「場」を提供する「プラットフォーム」(たとえば セキュリテ です) と,個々の「キャンペーン」(たとえば 途上国未電化家庭用太陽光システムファンド です) という2つの概念を理解する必要があります.資金調達を行う主体をキャンペーン・メーカー,資金調達を実施することを,キャンペーン・エグゼキューションと呼びます.
 
クラウドファンディングの主要なモデルは,以下のようなものです:
 

 
Donationは寄付型,Rewardは何らかの報奨がなされるもの (商品型),Debtはローン型,Equityは株式投資型 ですね.セキュリテの方式は,ぴたりと合うものはありませんが,プロジェクトへの投資という点や,ファイナンス規模の点でEquity型として分類されているものにもっとも近いと思います.
 
このうち,実際に「エネルギーアクセス問題に関するキャンペーン」に用いられたプラットフォームは以下の通りです (2016年):
 

 
大きなもののほとんどがローン型ですね.ローンは途上国におけるプロジェクト (KIVAの場合で個々のキャンペーンはかなり小さい.ちなみにわたし個人も融資しています) や,途上国の中小企業に対するもの (それなりの規模のキャンペーンですね) に分かれます.ただこの表には,Equity型は含まれていないようです.ちなみに PEAR のキャンペーンは,2,000万円 (18万ドル) です.
 
レポートでは,これらの4つの「型」別に,失敗例を含めていろいろ分析を行っていますが,ここではわれわれのキャンペーンを念頭に置いて,Equity型をみてみましょう.この型におけるキャンペーンは,以下のようなものだそうです:
 

 
すべてファンドレイジングに成功したとのことですが,まだまだ散発的で,萌芽期ということでしょうね.これらのキャンペーンの資金調達が,いま,どのような成果をおさめているか?という調査も行われていました:
 

 
これらの投資対象となった5つの会社は,18.6%が価値が目減りしたものの,まだきちんと存続していて,2社は次のファンディングのラウンドに進んでいるという点で,興味深いと言うことでした.

ただ,まだこの結果からいろいろ結論を出すには,事例が少なく,時期尚早のようですが,期待できそうな感じも受けます.

われわれのこのクラウドファンディングが,このエネルギーアクセス問題の ひとつの good practice として,積み上がっていけるようにがんばりますので,みなさんも応援をよろしくお願いします.
 
松尾 直樹
 

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2018年2月9日 16:00

電気を供給する機器としてのSHSコントローラー設計のポイント

今回は,SHS(ソーラーホームシステム)の技術的なスペックを設計するにあたって,留意しなければならない点をいくつかご紹介いたしましょう.ちょっとテクニカルな内容になりますが,できるだけ平易にご説明したいと思います.
 
1.WとWh
 
まずは,電気を表現する単位として,W(ワット)と,Wh(ワットアワー)を簡単に説明いたします.自分は理系でそんなこと先刻承知している,という方は,スキップしてください.
 
電気がどんなことができるか?という指標は,「仕事率」(単位は W) です.物理学的に言うと,一秒間にどれだけの仕事ができるか?という指標ですね.
 
電気を利用するということは,電気を消費して何かを行う機器(デバイスやアプライアンスなどと呼ぶことが多いです)を使用するということです.たとえば,われわれのEGAOに付属するLED灯は,約300ルーメンの明るさの室内灯で,約3Wの電力を消費します.19インチのTVは約10Wの消費電力です.一方で,比較のため かなり効率のよい冷蔵庫は20W程度です.
 
Wとは,その瞬間にどの程度の電力が使われるか?もしくは発生できるか?という場合に用いられます.一方で,それが継続する時間をかけたものが,Whの単位で表される電力量となります.電力量とはエネルギーに他なりません.
 
たとえば,3WのLED灯を,一日に4時間(4h)点灯させるなら,一日に 3W×4h=12Wh の消費電力となります (単位も かけ算の形で表されます).冷蔵庫の場合には一日に24h動かしますので,一日に 20W×24h=480Wh となるわけですね.これがけっこう大きいので,冷蔵庫は未電化地域では導入が難しくなります.
 
また,上では「消費」側の話をしましたが,おなじことは「発電」側にも言うことができます.10Wの太陽光パネルは,(ある条件下で) 10Wの電力を生み出します.そしてその状態が1時間続いたら,10Whの電力量(電気エネルギー)を発電することになります.
 
実際は,10Wの太陽光パネルは「ある標準化された日照条件 (ソーラーデイと呼びます) の下で」10Wの発電を行います (そしてWp (Watt-peak)という単位を用います).ソーラーデイ条件での10Wpの太陽光パネルの発電は,太陽の傾きが変化することを考慮して,一日に45Whの発電電力量となります.曇りの日や雨の日は,もっと発電電力量が小さくなります.逆に途上国(たとえばエチオピア)ですと,実際の晴天の場合,ソーラーデイより発電電力は大きくなります.
 
電池(バッテリー)に貯めることができるのは,電気エネルギーですので,Wh の単位で表されます.EGAOのコントローラーに内蔵されるリチウムイオン電池は,73Whあるいは146Whの定格容量となっています.実際に使用できる容量は,保護回路によって,それよりやや少なくなり,また長く使用すると徐々に少なくなっていきます.これはみなさんがスマホなどで経験されているとおりですね.ちなみに,わたしのMacBook Pro 15inchのリチウムイオン定格容量は76Whです.EGAOはそれと同等,もしくは2倍の容量というわけです.
 
3WのLED灯2灯と,10WのTVを同時に使う場合,3W×2+10W=16W の消費電力となりますので,たとえば64Wh実際に使える電池では,64Wh/16W=4h ですので,フル充電後,4時間使用することができることになります.
 
2.DCとAC
 
電気には,直流(DC; direct current)と,交流(AC; alternating current)があります.交流は,プラスマイナスが頻繁に入れ替わる(1秒間に50周期のものを50Hzといいます.Hzはヘルツですね)ものです.電力会社から送られてくる電気は交流ですので (交流の方が電圧を変えるのが簡単なのです),ほとんどすべての電気製品は交流で使うように設計されています.
 
でも,実は,パソコン,LED,TV,スマホなどの半導体を使っているものは,内部は直流で動作しています.太陽光パネルや電池の供給する電力も直流になります.よくきくUSBは,直流5Vの規格ですね (USB-Cは一部異なる電圧もカバーします).
 
したがって,SHSは,通常は直流仕様の機器の組み合わせとなっていて,市場に広く出回っている電気製品(より安いです)はそのままでは使えません.
 
3.EGAOのシステム構成とコンセプト
 
EGAOのコントローラーは,直流システムと交流システムの両方が使えるように設計しています.コントローラーへの入力もそうです.太陽光パネルの直流と,電力系統からの交流からの両方で充電することができます.出力の方も,直流12Vと5V (USB),交流用電気製品も使えます.
 
市場として,未電化状態の家庭だけでなく,電気が来ていてもかなり不安定な状態にある家庭(かなり多いです)も対象としていますし,その意味でも,交流対応以外に,UPS(無停電電源)機能も搭載しています.
 
EGAOの未電化家庭向けモデルは3種類あり,次のシステム構成です.懐中電灯型モバイルバッテリーは,携帯電話やスマホの充電ニーズが高いことも考慮したものです.
 
モデルX [フルスペック・モデル]
太陽光パネル40Wp, バッテリー146Wh, LED灯×3, 19” TV, 懐中電灯型モバイルバッテリー×2
 
モデルL [TV廉価版モデル]
太陽光パネル20Wp, バッテリー73Wh, LED灯×2, 19” TV, 懐中電灯型モバイルバッテリー×2
 
モデルS [照明オンリーモデル]
太陽光パネル10Wp, バッテリー73Wh, LED灯×2, 懐中電灯型モバイルバッテリー×1
 
下に,3つのモデルの場合のグラフを添付します.縦軸はWhですが,上のグラフはスケールが2倍になっている点にご注意ください.
左側の青色の棒が 電気の供給側(左がバッテリーがフルチャージした場合,右がソーラーデイ状態でのチャージ量)です.
右側の赤色の棒が 電気の需要側で,各種デバイスの一日の電力量消費量を表しています.
それぞれのモデルが「どの程度 使えるか?」を ご覧になってください.
 
 
松尾 直樹
 

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2018年2月6日 07:09

「BOPビジネス」というものについて思うところ

きょう (もう昨日ですが),JICAで「SDGs時代における貧困層を巻き込んだ途上国発インクルーシブビジネス セミナー」なるものがあり,参加してきました.インクルーシブビジネスとは,BOP層の人々をインクルーシブにするということを強調した表現です.
 
プレゼンテーションをきいてわかったのは,「JICAに対する提言」を行う調査の結果報告だったということでした.また,フロアから発言した人のほとんどは研究者,大学の先生,コンサルタントで,BOPビジネスを実際にやっている人で発言したのはわたしだけでした.ということで,いろいろフラストレーションが残る(笑)ものでしたが,(ある程度わかっていたとはいえ) 援助関係者との認識の違いが浮き彫りになったという点では収穫でした.
 
以下,わたしの BOPビジネスに対する私見を,かいつまんでご紹介いたしましょう.
 
BOP層の人々のくらしと経済

BOP層の定義はともかく,彼らは「援助」で生きているわけではありません.彼らは彼らの周りの経済の中で生きているわけです.愉しいことも苦しいこともいろいろあるでしょうが,われわれと同じ人間です.いろいろ制約はあるかもしれませんが,ざっとその8割〜9割(印象ですが)は,人間としての生活を送っています.先進国の人の定めたBasic Human Needsに達しない人も多いわけですが,だからといって,生活のために何らかの仕事をして,ちゃんと欲しいものをその稼いだお金で買っています.その意味で「正常」で ある意味「健全」であるわけです.
 



BOPビジネスは,彼らの関与するビジネスであるわけですね.先進国のビジネスに彼らをインクルーシブする,というのは「おこがましい考え」で,彼ら自体がBOPビジネスを主体的に行っているわけです.途上国の村々のキオスクなどはその典型ですね.彼らは,みんな起業家でビジネスマンです (一方で,援助関係者は,コンサルも含め,自分でビジネスを行った経験のない人がほとんどです.博士号を持っている人は多いのですけどね).
 
 
 
もっとも,われわれが興味があるのは,「先進国企業が関与する」BOPビジネスであるわけですね (きょうのセミナーはそうではなく,むしろ途上国の社会企業を どうJICAがサポートしていくか?という点のようでした).わたしは,それが「経済原則に乗らない領域」であってはビジネスで行うことの意味がないと思っています.
 
わたしは,国際協力を,JICAのような公的援助機関と,民間企業が「ビジネス」を通じて行う場合の違い(一種の棲み分け)は,前述の「健全」な部分を「ビジネス」が担い,そうでないところを,公的機関がサポートするというアプローチであるべきだと思っています.再度繰り返しますが,BOP層の人々は貧しいですが,大多数は(やや歪んでいる面はありますが)健全な形で経済に組み込まれていると思います.その健全な部分が,ビジネスの対象となるわけですね.わたしの行うソーラーホームシステム(SHS)による電化という分野は,まさにそうです.



一方で,「まだ」健全な形で経済に取り込まれていない(外部不経済という言い方をすることもあります)部分には,公的機関の関与が必要となるでしょう.そして,それは徐々に「内部化」されていくことが望ましいでしょう (それが難しい分野もありますが).SHSの普及の初期段階に,(全額でなく) 初期費用の一部を公的資金で補助し,徐々にそれを撤廃していく,というようなアプローチですね.バングラデシュのSHSプログラムはそうなっています (きょうアジ研の人が,サステイナブルに(!)補助金に頼るビジネスを主張していましたが,「え?!」でした.外部不経済が解けない分野は,たしかに公的資金で行うべきですが,それに「ぶらさがる」ビジネスのことなのでしょうか?).
 
ただ,この「健全な」分野に,不用意な「介入」が行われるケースもあります.わたしのSHSの分野では,たとえばミャンマーの政府による「介入」のケース や,大企業のケース などがあります.通常,市場で販売されている製品が,無償で配布されたなら,それは「健全な市場を破壊」する暴挙です.横で無償配布されているのに,誰がお金を出して購入するでしょう?善意に解釈するなら,それを行った(大きな力を持った)人は「いいことをした」と信じて疑わなかったのでしょうが... このような場合,よほど慎重に提供する対象やその方法を選ばなければなりませんが,すくなくともわたしの見る限りは,そのような「配慮」に関する記述は見当たりませんでした.
 
わたしの知っているインドネシアの例では,政府が無償配布した大量のSHSが,すぐに市場に横流しされたり,使えなくなってもだれもメインテナンスをしない状態が多数みられたそうです.自分でお金を出して買わなかったものに,人々は意味や価値を見いださないのでしょう.「施し」は人の尊厳を傷つけます.さらには「援助慣れ」というイヤな言葉もあります (JICAの人は痛感していると思います).一方で,ビジネスは,あくまで対等なディールであることを再認識したいものです.
 
いろいろ批判的な物言いもしましたが(比較することで論点が明確化できるものですから)わたしは,ビジネスという手法を使うことの意味は,このようなところにあると思っています.
 
最後に「SDGsビジネス」という言い方も 最近目にしますので,それについても一言.
 
SDGsは,国連の定めた持続可能な開発目標(SDGs)で,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された 2016年から2030年までの国際目標です.持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています.本当は先進国も対象なのですが,主眼は途上国においたものです.
 
日本で,BOPビジネス→SDGsビジネス と使われ方がシフトした背景には,JICAがそのように日本企業支援スキームの名前を変えた(実は,その裏にはBOPビジネスの成功例が少なく,より高所得者層を目指すものを含めれば,実績が上がるだろうという目論みがあります)ことがあるのですが,同時に,コンセプトを 一段階上げた(?)というような感じで話される人も多いようです.
 
わたしは,SDGsに異を唱えるつもりはまったくないのですが,途上国開発というものの主軸であるビジネスや経済という面から見たとき,SDGsビジネスという言い方は,かなりミスリーディングだと思います.盲目的に「お墨付き」として使うのは,ちょっといただけません.
 
「地球上の誰一人として取り残さない」というコンセプトは「美しい」し,政府や援助機関の方針として掲げる意味はあると思います.しかし「ビジネス」とは相容れない側面が強いでしょう.ビジネスでは,上記のように「健全な」分野で,さらに「ターゲットを絞った」アプローチが採られるでしょう.これがわたしの「違和感」です.
 
また,たとえば途上国の経済を動かし,開発に大きく寄与してきた製品に「携帯電話」があります.これを使ったフィンテックなども,イノベーションとして語られることも多いのです.ですが,この「人々を動かしてきた(人と繋がっていたいという)欲求」は,SDGsの17のゴールには,なぜか含まれていません.わたしは,このような「人々を動かす」ものをトリガーとして効果的に活用することこそ,SDGs達成への強力なアプローチだと思っています.
 
わたしのビジネスでは,それが TVへの欲求 になるわけですね.
 
松尾 直樹
 
 

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2018年2月4日 19:04

未電化状態の人々の暮らしの実態ってどんなのだろう?

ついに,サポーターの方々が202人となりました!お一人平均で,2.5口もの出資を頂いており,18日間で目標の 1/4(26%)が達成されたことになります.どうもありがとうございます!
 
1/25に,”Escaping Darkness—Understanding Consumer Value in PAYGo Solar” というレポートのことをご紹介しました.これは,ローカルな人々にとって「実態として」ソーラーホームシステム(SHS)や,その分割払い手段であるPay-As-You-Goの「実態」を,アフリカ4カ国(コートジボアール,ガーナ,ケニア,タンザニア)でインタビューベースの詳細な実態調査したレポートで,かなり興味深いので,その概要を紹介いたしましょう.

わたしたちの行おうとしていることは,途上国の貧しい人にものを販売するビジネスであるわけです(援助でなく対等なビジネスなのですね).たとえば3万円の小売価格は,彼らにとって非常に大きな出費であるわけです.ポンとキャッシュで払えるレベルではありません.でも,彼らも,夜間照明に灯油を使っているわけで,その出費は年間数千円〜1万円程度です.もちろん,すこしずつたとえば毎週購入しているわけです.言い換えると,この程度の出費を分割で行うことができるなら,彼らだって支払うことができるわけです.
 
それを可能とするのが,Pay-As-You-Goという仕組みです.この技術は,「支払った分だけ使うことができる」という技術で,ユーザーが(お金に余裕のあるときに)前払いした分だけ,その金額に応じて,使うことができます(支払わなければシステムがOFFの状態になります).途上国の一部の国々では,携帯電話による支払いができ,これと組み合わせることで,人口密度の低い国々でも,分割払いシステムを,より有効に機能させることができます.われわれのSHSでも,もちろんこの技術を搭載いたします.
 
このレポートの調査結果の概要は,以下の通りです:
 
このレポートで調査対象となったプロバイダーのPAYGモデルは,次の2つです:
  • 日単位の支払い(携帯電話ウォレット引落)×1年間 [プロバイダー例: M-KOPA,PEG].頭金は約3ヶ月分.90日間支払いがないと(その間は使えない)再開するための追加料金が必要.支払期間が1年間の場合でも「中断」期間があれば,ユーザーは(繰越金や追加利息なしに)それを延ばすことができるという柔軟性がある.
  • 月単位の支払い×3年間 [プロバイダー例: BBOXX,Off-Grid Electric].頭金がないケースもある.支払いは毎月一括である必要はないが期日から3日以内でないとシステムを止められてしまう.支払いが滞った場合には,その分を支払い終えるまでシステムを使うことはできない (ただ追加利息はない).数ヶ月支払いが滞った場合には差し押さえもあり得る.3年の期間を設定する場合には,毎月の支払いはかなり低く抑えられる.支払い後 10年目まで,月単位のサービスフィーでプロバイダーが保守をしてくれるケースもある.
 
1年と3年の支払期間の差異を特徴付けたものが下の表です:
 
 
また,価格125ドル,頭金20ドルのSHSの場合の,1年,3年,5年の支払期間のケースのユーザーのシミュレーションは以下の通りです.インフレ率の高い途上国での利息支払いもバカにならないですね:
 
 
調査のサマリーは,以下のようなものとなります:
 
1.ソーラー製品購入の最大の動機は,文字通り「さまざまな暗闇」から逃れるため
SHSの利点は,わかりやすい種々の非常に大きなライフスタイル改善はもちろんですが (この点は強調しすぎることはありません),その中で,印象に残ったものとしては,次のようなものです:
  • TVは,より広い外界と繋がる窓になっている;
  • とくに親の責務として子供達にその窓を見せてあげたい;
  • SHSが使えることで,プライド,自分の価値(dignity),自分の業績(achievement) といったものを強く感じる;
  • 訪問者にSHSを見せることで,より強いもてなしができ (携帯電話充電などもしてあげられる),一種の顕示欲と共にとてもうれしい.
 
2.長期の支払いによって高価なものも手に入る
これはPay-As-You-Goのもっとも重要な点で,それが再確認されました.
 
3.SHSの所有欲が強い
わたしもバングラデシュで学びましたが,レンタルや,隣から電気を分けてもらうサービス型より,一時的に支出が多くなったとしても,自分で所有したいという気持ちが強いようですね (サービスモデルへの理解が薄いようです).所有者は,保証期間に期限があることも理解しているとのことです.
 
4.エネルギー支出は増えるが満足度と優先度は高い
ケニアの場合,典型的なケースでは灯油代が月額2〜4ドル.PAYGの場合には6〜15ドルと,2〜3倍の支出.ただ,この追加負担が耐えられないと答えた家庭はなかったようで,食費,教育費,医療費に食い込むことなく支出可能で,また十分にその価値がある(よろこんで支払う)ということのようです.
SHS購入の判断は,コストの問題ではなく,ライフスタイルを大きく変えたい,という欲求ということでした.
ほとんどすべてのSHS所有者は,基本システムから,TV付きにアップグレードしたいと答えていました.
また,エネルギー支出の大きさは,所得にあまり関係ないということでした.
 

また,灯油(ケロシン)以外にも,SHSで代替できる支出がいろいろあるようです.一方で,灯油の比率は減ってきているようですね.
 
 
5.購入の意思決定は主として男性が行う
言い出しは奥さんでも,やはり意思決定は旦那さんが多いようですね.奥さんも,たとえSHSへの出費によってやりくりが難しくなっても文句は言っていないようです.
 
6.支払いのパフォーマンスはいろいろな要素で決まる
単純入手が容易かどうか,というだけでなく,いくつもの要素が関係するようです:
  • 支払いが滞ったときのキャッチアップ.支払いタイミングに柔軟性を持たせることでこの点は緩和でき,送れたとしてもどうにかして支払いを完了させようとします.
  • 想定外の出費.短期間の支払い猶予を設定することで,この点を緩和できます.
  • 契約事項の不十分な理解.売手と買手の相互不信に繋がらないようにする必要があります.
  • 支払い回収手続きの管理.携帯電話による支払い回収が用いられる場合には問題ないが,知られていない場合には支払いが滞る可能性が高くなる傾向にあります.
 
7.PAYGによるファイナンスは,貸手と借手にとって通常の融資と比較して,リスク評価がむつかしい
PAYGはまだ新しい方法なので,貸手にとって,リスクを評価する十分な経験やデータが不足しているという課題があります.借手によっても,契約の内容をきちんと理解することが難しい場合もあり,それがリスクに繋がります.
 
その他,携帯電話充電やTVによるサッカー観戦などをビジネスとしているケースもいくつも見られたと言うことでした.ビジネスキットとして販売されているケースもあり (SHS支払い率は良好),未電化費率が高い村の充電サービスで月額35ドルもの収入もあったとのことでした (ただソーラー製品普及や,西アフリカでは社会的慣習の面から難しいケースもあるようです).
 
もうひとつ,興味深いデータがありました.「自分をgood payerと思うか?」というデータです.PEARは,TVをトリガーに普及させようとしていますが,資金回収リスクは比較的小さそうですね.
 
また,いろいろ興味深いレポートがありますので,機会を見つけてご紹介いたしましょう.
 
PEARカーボンオフセット・イニシアティブ
松尾 直樹
 

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2018年2月1日 10:56

カーボンオフセットって どんな意味があるのだろう?

このファンドが立ち上がってから,約2週間が経ち,今現在で186人の方のサポートを得ています.投資額で目標の約 1/4 に相当し,またうれしいことに,ひとりあたり 平均 2.5口 も出していただいています.本当にどうもありがとうございます!
 
このファンドの 特典 になっている「カーボンオフセット・サービス」ってどんなものだろう?と疑問にもたれている方がおられますので,今回は,ここで,その背景や考え方から,簡単に紹介したいと思います.社名(株式会社PEARカーボンオフセット・イニシアティブ)にも入っていますね.
 
「オフセット」とは「相殺(そうさい)」を意味します.
 
みなさんが,なにかの活動をされると,ほとんどの場合,直接もしくは間接的にCO2を排出します.電気などのエネルギーを使う場合,車に乗る場合 などはわかりやすいと思います.みなさんが購入したものも,エネルギーを使っていますので,CO2が出ているわけです(化石燃料は炭化水素ですので,燃やすとCO2が出ます).
 
気候変動問題あるいは地球温暖化問題とは,そのCO2をできるだけ出さなくて済む社会の構築なしには,解決しません.もうすこし具体的には,パリ協定のゴールである「産業革命以前から2℃の気温上昇に抑える」ためには,およそ2100年には,排出量を(吸収活動も合わせて)ほぼゼロにする必要があります.このファンドは「途上国に明かりを」という活動ですが,大切なのはそれが「再生可能エネルギーによって」という点です.すなわち CO2フリーなエネルギーの社会構築や経済開発の実践例であるわけですね.
 
世界のCO2排出量は まだまだ伸び続けています,長期にわたって減ったことはありません(オイルショック,世界大戦,世界恐慌などのときに,数年 減ったことはありますが...).
 
ファンドのページのいちばん下の方に書いているように,日本人は年間で,生活関連のCO2を 2トン強 平均で排出しています(カーボン・フットプリントと呼ぶこともあります).これを大幅に減らすことは非常に難しいです.これはいわば CO2のダイエットで,体重のダイエットと同じくらい難問です.
 
ただ,それを大幅に かつ簡単に,低コストで減らす方法があります.それが「カーボンオフセット」なのですね.
 
カーボンオフセットとは,他の人が CO2を減らしたら,それを「購入」することで,自分が削減したとみなすことです.

「え?それはズルじゃないの?」と思われるかもしれませんが,そんなことはありません.みなさんは,たとえば会社に行くのに電車を使われるでしょう.これは「お金を出して」移動というサービスを享受していることです.自分で肉牛を飼育せずに,牛肉を買ってきますよね.すなわち,自分で行うのはたいへんな場合,他人にそれをやってもらって,その行為に対価を支払うわけです.これがすなわち「経済活動」にほかありません.言い方を変えると「分業」であるわけです.
 
このような「経済」に乗せることで,われわれの活動は飛躍的に大きくなりうるわけです.もうひとつのたいへんなことである「CO2の大幅削減」だって,このような経済メカニズムを活用することができ,むしろそれによってはじめて,「コスト効果的」に「大幅な」削減が可能となります.
 
他人の排出削減分の移転の際にやりとりするものが,「排出権」と呼ばれるものです.
 
企業にCO2排出規制が課せられているヨーロッパでは,排出権取引制度が導入され,排出できる権利として「排出権」が市場で取引されています.
 
京都議定書の下では,途上国でCO2排出削減を行い,それを「排出削減クレジット(排出権)」とすることで,大きなビジネスが生まれ,途上国での排出削減活動も進みました(わたしはその第一号に寄与しました).
 
一方で,規制がないけれど,自主的にCO2を減らしたい,という場合にも,このように他の人が減らした証(排出削減クレジット)を購入することで,自分の排出量を相殺(オフセット)させることが可能です.これが「カーボンオフセット」であるわけです.
 

ただ通常の人は,それをどうやってできるのかよくわかりません.そのため,そのようなサービス(顧客のカーボンオフセットを代行するサービス)を行う カーボンオフセット・プロバイダーというビジネスが生まれるわけです(日本にも,プロバイダーのカーボンオフセット協会があります.PEARもその一員です).
 
われわれは,本ファンドの立ち上げにあたって,どのような特典が望ましいのだろうか?と考えました.広く関与してもらいたいということから,一口を1万円におさえました.またセキュリテは製品購入型クラウドファンディングではないため,投資額相当の特典をお付けすることはできません(金銭的リターンとしてお返しするわけです).一口10万円なら,SHSそのものを特典にすることもできたのですが,1万円なのでそれもできません.
 
そのような制約の中で,このファンドに投資する人は,どんな人だろう?という問題設定をし,きっと社会的な貢献をしたい,エネルギーや地球温暖化問題への関心が高く,自分でも省エネなどに気をつけている方が多いのでは?と思いました.
 
したがって,「カーボンオフセット・サービス」を 特典として ご提供することにしたわけです.
 
特典を受けた方にとって,直接 目に見える 便益はありません.ただ,地球環境に対して,CO2削減という「貢献」をしたという 一種の満足感が,ご提供できるものです.形としては,そのカーボンオフセットを行ったという証書(PDFですが)は,われわれが発行いたします.
 

もちろん,PEARはカーボンオフセット・プロバイダーですので,自己の所有する排出削減クレジットの在庫管理はきちんと行っており,それを用いて,たとえば一口投資いただいた方には,0.5トン分の排出削減クレジット(削減したという証)を割り当て,それを,償却いたします(もう使えないという処理です).その手続き終了後に,証書を発行いたします.
 
PEARは,この仕組みを,日本に普及することで,日本の方々が手軽にオフセットを行って(たとえば一日50円くらいを支払って)カーボンフリー(!)な生活を送っていただきたいと考えて設立いたしました.そして,その資金が,途上国でのプロジェクト(本ファンドの対象となっているようなプロジェクト)の資金源となることを企図していました.
 
残念ながら,日本人のメンタリティーは,そこまで成熟してこなかったので,個人向けカーボンオフセットは拡がっていってはいませんが,みなさんには,今回は「特典」として,その一端でも感じていただければさいわいです.
 
あまり更新していませんが,ブログにすこし考え方の説明もしていますので,よろしかったら,ご覧下さい.
 
松尾 直樹
 

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【ご留意事項】
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