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地方創生や「ファイナンスの地産地消」に共に取り組みたい

2021.04.08

日本最大級のアクティブ型株式投信を運用するレオス・キャピタルワークスは、3月、「まるごとひふみ」というバランス型投信の運用を開始し、より多くの方々が投資しやすい商品を提供したいというスタンスを明確に打ち出しました。セキュリテで「妖怪ふぁんど」を組成したこともあり、あらゆる投資を知り尽くす藤野英人社長に、投資を通じて目指す社会像を伺いました。

藤野英人

藤野英人さん

国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。投資信託「ひふみ」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力する。 JPXアカデミーフェロー、東京理科大学MOT上席特任教授。一般社団法人投資信託協会理事。近著に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『ゲコノミクス 巨大市場を開拓せよ!』(日本経済新聞出版)。2013年出版の「投資家が『お金』よりも大切にしていること」では、当社代表の小松真実も登場させていただいている。


未上場株投資が中心となる自らのポートフォリオ

小笹:

藤野さんといえば、「1人取引所」と呼びたくなる位、様々なものに投資されている印象を持っています。ご自身のポートフォリオは、どうなっていますか?

藤野さん:

僕個人のポートフォリオは、一般の個人投資家には全くお薦めできません。資産の99%がリスク資産だからです。現金比率は1%あるかないかです。リスク資産の殆どは、流動性が低く、現金化するのが難しい資産です。
リスク資産の中で、一番、流動性があるのは、ひふみです。資産の20%位は、ひふみ投信(日本株)とひふみワールド(世界株)です。あと、不動産は、住んでいる逗子の家です。
圧倒的に割合が大きいのは未上場株で、中でも、自分の会社の株、レオス・キャピタルワークスの株の比率が最も高いです。レオス以外に、32社位の未上場企業に投資しています。未上場企業の株は、株式市場で取引されていません。株式市場に上場するか、他社に買収されないと、株は現金化できません。
持っている未上場企業の中には、2年に1社くらい、上場する企業があります。そうすると、それなりの金額の株が現金化されて、一時的にキャッシュが増えます。でも、その殆どを、また未上場の企業に投資しちゃうんですよね(笑)。僕のお金の殆どは、「未来への投資」にあてられているということになります。資産は増えていると思いますが、すぐに手元に使える現金がないというのが僕のポートフォリオの特徴です。

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小笹:

「未来への投資」というお気持ちだけで、このポートフォリオに至ったわけですか?

藤野さん:

もちろんそれだけではありません。まず、レオスに地力がついてきて簡単につぶれるような会社ではなくなりました。それで、毎月、給与を安定してもらえるようになりました。 5年後、10年後、よほどの失敗をしなければ、給与をちゃんともらい続けられるでしょう。
一日の生活費に困ることは、しばらくはないので、病気などに備えた緊急用資金だけを手元におきながら、残りは株式投資をしています。
上場株への投資は、私たちが日本最大級の上場株投信を運用している以上、例え1株であっても、フロントランニングや相場操縦と疑われる危険性があります。それで上場株への投資は全くしていません。
一方、未上場株は、市場で流通していませんので、インサイダーや相場操縦で疑われることが絶対ありません。「未来への投資」という面でも、自らが経営者として培った様々なノウハウが活かせます。その結果、「世の中の役に立つ」という面でみると、未上場株を通じた事業投資が非常に面白いです。
僕は、会社を2社創業しています。レオス・キャピタルワークスとウォーターダイレクトという天然水を扱う会社です。ウォーターダイレクトは合併して、プレミアムウォーターホールディングスという時価総額で約1,000億円の会社になりました。
それに加えて、3月に新たにViXion(ヴィクシオン)という視覚障害者向け電子眼鏡事業の会社を支援することになり取締役にもなりました。スタートアップの会社3社目です。レオスもきちんと経営していきますが、新たに大きくする価値のある会社に出会えて携われることを嬉しく思っています。

「まるごとひふみ」を「貧富の格差」是正に役立てたい

小笹:

今回、発表したバランス型投信「まるごとひふみ」と「ひふみらいと」について藤野さんは、債券を組み込んだローリスクローリターン商品が作れたことに意味があると、おっしゃっています。しかし、藤野さんご自身は債券投資をされていません。ここで改めて、藤野さんご自身のポートフォリオに組み入れられていない債券を新商品に入れた理由を、教えてください。

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藤野さん:

僕自身は、投資のリスクをまるごと背負う訓練を受けてきましたが、多くの人はリスクが怖いからです。リスクというのは、上がったり下がったりすることです。
日本ではいまだに人口の約9割が現預金だけを持ち、約8割の人は投資したことがありません。株式投資をしたこともないし、投資信託を買ったこともないという人が、いまだに国民の大多数なわけです。
2019年6月に、「年金2000万円問題」が、話題となりました。夫婦で80歳位まで生きた場合、全く貯金がなく年金だけだと、約2000万円足りなくなるかもしれないと、警鐘が鳴らされました。
すると、世の中は蜂の巣をつついたような騒ぎになり、多くの人たちが評論、批評をしましたが、殆どが金融知識への理解が足りず的外れなものばかりでした。ここに、僕はショックを受けました。
草食投資隊などの活動を通じて、日本全国を回り、おそらく日本のどの運用会社の社長よりも普通の人々と話してきたつもりでしたが、あの時の世間の反応は想像を絶するものでした。
それで大きく考え方を変えたのです。それまでは、日本株、世界株、未上場株という3つの部門を持った株式投資の専門家集団になることを目指していました。運用資産残高2兆から3兆円の残高で、優秀な社員に高給を払い、投資していただいたお客様にも豊かになってもらい、自らも収入に恵まれればいいと思っていたのです。
しかし、私のパートナーである湯浅(光裕副社長)と、(衆生の救済を目的とする)大乗仏教と(個人の救済を目的とする)小乗仏教の議論みたいな話を、10年後、20年後、高層ビル最上階にあるレストランでしたらどんな気持ちになるだろうなあと考えたのです。その頃、レオスは、大成功し、近くのオフィスビル数フロアを借りていて、夜になっても明かりが煌々と点いているのが、レストランから見えています。そこできっと、こんな会話をすると思ったのです。
「僕ら一生懸命取り組んで、僕らが頑張れば日本が良くなると思ったけど、結局、格差は拡大したね。僕らに投資をしてくれた人は良かったけど、全く投資をしない人たちは、結果的に、全くお金が増えなくて、資産運用した人としていない人の差が劇的な「貧富の格差」になったね。僕ら一生懸命頑張ったけど、ある面でみると、「貧富の格差」の是正どころか、資産格差の拡大に加担しただけなのではないかなあ」。

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それで、現預金から踏み出せない人たちを、少しでも動かさないと駄目だと考えるようになったのです。
これは、他社にはなかなかできないことです。既存の大手資産運用会社ですと、サラリーマンが、数年単位のローテーションで働いている場合が殆どなので、長期視点に立つことができません。10年20年の目線で、資産運用の現状を変えていこうと思い実践できる人は、日本にわずかしかいません。僕たちに取り組む社会的責務があるのです。
ローリスクローリターンの商品を出して、リスクが怖いと思っている人たちに、今まで以上に歩み寄っていくのです。「ドキドキしないし、定期預金に預けるよりはリターンは悪くない」という商品を提案する必要があると、「年金2,000万円問題」を契機に方針転換したのです。
債券をいれたローリスクローリターン商品を設計し、今まで投資をしたことがない人たちに、北海道から沖縄まで今まで以上に沢山販売していかないといけません。それで、10年、20年たって、「あの時に投資していたから、老後の不安が少し軽減し少し安心できるよね」という人を、更に多く作らないといけないと、私たちは強く思ったわけです。

これからは直接金融の世界で地産地消が必要

小笹:

いろいろな気づきの集大成で、新しい商品が出たということなんですね。
ここで、歴史をたどらせてください。藤野さんは、昔から、共生と言われて、投信の直接販売だけでなく、地域の金融機関を経由した販売をものすごく大事にしてきました。あとは、セキュリテでも「妖怪ふぁんど」(※1)を出していただいたりして、地域の活性化にも取り組んでいます。今は、富山県朝日町(※2)を中心とする地方創生活動もされています。そうした活動との連続性の中に、今の話はあるのでしょうか。藤野さんの頭の中で、どう整理されているのでしょうか?

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妖怪ふぁんど壱

藤野さん:

あります。あります。最初に「まるごとひふみ」がもたらす地域へのインパクトについてですが、「三方良し」の考え方を持っています。まず地域の金融機関は、預かり資産が預貯金に偏っています。でも預貯金を集めても、今、融資先がありません。預貸率が悪化し、地銀の収益力は低迷しています。
そこで、預貯金の一部を投資に回す必要があります。「まるごとひふみ」に、預貯金の一部を回してもらえれば、金融機関にとっては、収益率が預貯金よりも高くなりますので金融機関の利益拡大に貢献できます。次に、預貯金を振り替えてくれたお客様にとっても、現在、預貯金はまったく利息がつかない状況ですので、その預貯金よりは利回りが高くなる可能性があります。
そして、僕たちからみると、今までよりも幅広いお客様を持つことによって、収益を稼ぐことができるわけですから、「三方良し」です。
もうひとつ取り組みたいと思っているのが、地方創生型の投資です。セキュリテで「妖怪ふぁんど」を作ったことや富山県での活動をすることで考えてきたのは、これから日本でやらなければいけないのは、「ファイナンスの地産地消」だということです。
これまでは、融資で「ファイナンスの地産地消」が行われることになっていたわけですが、これからは、直接金融の世界で、地産地消をする必要があります。
具体的には、富山県で調達された資金が、リスクをとろうと思っている地元の会社に投資されていくイメージです。この流れが、今まであまりなかったのですね。なぜなら、地方の金融機関は、ビジネスが融資に偏っていて、直接投資をしてこなかったからです。新しい流れを、当社が作りたいです。
バランス型投信の「まるごとひふみ」や「ひふみらいと」だけでは日本の地域や格差の問題は解決できません。未上場株投資を中心とする地方創生型ファンドと、地方創生を目的とした地方の金融機関の地産地消を目指す方策にも、挑戦していきたいなあと思います。なお、地方創生型ファンドは、「まるごとひふみ」のポートフォリオに入るわけではありません。ひふみシリーズのひとつにはなるかもしれませんが。

地方創生や「ファイナンスの地産地消」に共に取り組みたい

小笹:

最後の質問です。僭越ながら藤野さんとミュージックセキュリティーズは、切っても切れないご縁ですよね。藤野さんが、独立前に働いていた運用会社で、当社代表の小松が、大学時代アルバイトをしていたと聞いています。このインタビューは、セキュリテならびにミュージックセキュリティーズのファンに向けてお送りしているものでして、最後に応援メッセージをお願いいたします。

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藤野さん:

ミュージックセキュリティーズは、北海道から沖縄までの想いのある事業者を、普通の人たちが支えていく形に仕立てて大きく成長しました。今でいうクラウドファンディングの仕組みを、いち早く実践した老舗中の老舗だと思います。
先ほど、僕は「ファイナンスの地産地消」に取り組みたいと話しましたが、それを、もう20年以上にわたり実践してきた会社です。真面目に実践して、それによって助かった企業もありますし、投資したお客様も、会社を支援することで経済的にも精神的にもリターンを得ることができました。本当に社会的価値の大きい会社だと思います。
最初は、それほど認知されず必要性を理解してもらうのに時間がかかりましたが、先ほどお話したように、今、金融機関が、本来の役割を担えなくなっている中で、ミュージックセキュリティーズの果たす役割は、極めて大きいと思っています。
これからも頑張っていただいて、地方創生や「ファイナンスの地産地消」を、共に推し進めていきたいなあと思っています。

※1)妖怪ふぁんど:日本最古のキャラクターの一つである「妖怪」をもっと身近に、世界に発信することで、妖怪の聖地「鳥取県境港」を盛り上げることを目標にセキュリテで2010年に組成されたファンド。藤野社長は、このファンドの発起人の1人でした。
https://www.securite.jp/fund/detail/136

※2)藤野社長は、富山県朝日町で地域創生や起業家育成を目的とした一般社団法人「みらいまちLABO」を立ち上げています。2020年12月には、朝日町から特命戦略推進監に任命されました。


小笹俊一
インタビュアー

ミュージックセキュリティーズ株式会社 広報部 小笹俊一

1968年東京生まれ。上智大学外国語学部卒。1992年NHK(日本放送協会)入局、アナウンサーとして大分、東京で勤務。2000年ブルームバーグニュース入社。2016年よりスパークス、セゾン投信とファンド会社を経験し2020年11月に当社入社。

【ご留意事項】
当社が取り扱うファンドには、所定の取扱手数料(別途金融機関へのお振込手数料が必要となる場合があります。)がかかるほか、出資金の元本が割れる等のリスクがあります。
取扱手数料及びリスクはファンドによって異なりますので、詳細は各ファンドの匿名組合契約説明書をご確認ください。
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