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セキュリテは、授業料が返ってくる学校

2021.02.25

セキュリテで出会った会社、トビムシに転職した沖さん。セキュリテのツアーで様々な企業の社員と触れ合い、企業経営の酸いも甘いも知った上での決断でした。セキュリテなしではあり得なかった人生一代記をお楽しみください。

沖雅之

沖雅之さん

1975年生まれ。セキュリテで出会ったトビムシに転職。福岡県八女市へ移住して地域商社を経営。幸せをふやす「いい投資」を探求する投資家。趣味は旅行と投資先の企業巡り。
ブログ「いい投資探検日誌(from八女)」


セキュリテに初期から投資

小笹:

沖さんがインパクト投資にいたるまでの変遷を教えてください。

沖さん:

投資は2000年位から始めていました。当初はおカネを増やそうと思っていたので、個別株や投資信託が中心でした。ただ当時から、日本の著名投資家、竹田和平さんが旦那道を説いているのに、憧れていました。竹田さんのように、「上場企業に限らず、自分の好きになった企業を応援できればいいなあ」と、漠然と思っていました。しかし、実現する手段がありませんでした。

それから8年後、ネットニュースで、純米酒ファンドを紹介する記事があって、残念ながらファンドは買いそびれたのですが、ミュージックセキュリティーズを知ることができました。それで、2009年からセキュリテの投資を始めました。

写真3_1

セキュリテで出会ったトビムシに転職

小笹:

本当に最初の頃から、お付き合いいただいているのですね。

沖さん:

本当にそうですね。で、2009年から2010年にかけて、(現在の勤務先である)トビムシの岡山県「西粟倉村共有の森ファンド」を夫婦で買いました。その翌年、実際、西粟倉村にツアーで行きました。

自分が投資した会社を見学するのは初めてのことでしたので、すごく、はまったんです。正に、はまってしまいました。「地方で、こんなに頑張っている人たちがいるんだ」という現実を目の当たりにして、それから立て続けに、西粟倉にツアーで通うようになりました。

写真3_2
西粟倉村共有の森ファンド2009

初めて行ったときには、トビムシの事業計画を聞くだけで何かできているわけではなかったのです。「こういうことをやろうと思っている」という話を聞きました。4か月後にいったら、「こんな理由で、これができなかったが、今度は、こんなことを試してみようとしている」という話がありました。

そんな感じで、立ち上げの段階で、いろいろ、苦労しながら進んでいるところの話を聞いてみると、「あきらめないで続けるのがすごいなあ」と思いました。訪問するたびに、徐々に形になっていくのも確認できたので、思い入れは強くなっていきました。

また、夜の飲み会では、外に発信している情報と実際の現地の苦労とのギャップについて本音が聞けるのも魅力で、いずれ自分も携われたらいいなあと思うようになりました。ある時期からは、妻と、「どうしたら西粟倉に移住できるだろうか、どういう仕事をしようか」と話しあうまでになったのです。

インタビュー動画「百年の森を育てる〜森は地域の宝物〜」

小笹:

首都圏を離れてもいいと思ったのも、西粟倉村がきっかけなのだそうですね。

沖さん:

西粟倉村でベストセラー「里山資本主義」著者でエコノミストの藻谷浩介さんの講演を聞く機会がありました。その時、藻谷さんは、「東京は、人が密集していて不自然です。魅力多い西粟倉のような中山間地は、いずれ、海外の人たちが住ませてくれといい始めるでしょう」と、おっしゃいました。その時から、「無理に東京にいる必要もないのかな」と、思い始めたのです。

その後、トビムシのツアーで、福岡県八女市での新事業の話があって、夫婦で八女に行き、二人とも気に入ってしまいました。改めて僕もトビムシに入りたいと思いました。2016年のことです。勤務地も、事業が軌道に乗った西粟倉よりも、これから新規事業が始まるところのほうが面白そうだということで、「八女で働きたい」とトビムシに依頼したら受諾してくれて、八女にグループ会社を設立するところから関わって、八女里山賃貸株式会社と株式会社八女流の代表取締役として、今に至っています。

写真3_3 八女の里山

小笹:

セキュリテを、自分たちの人生をどう生きていくかを考えるためのツール、羅針盤として使っていらっしゃいますね。

沖さん:

そうですね、(セキュリテを活用している事業者には、)本当にいろんな会社があって、多様な活動をしているので、それをツアーで見学しました。そして、地域で人が実践していることをいろいろ吸収して、自分の人生にとりいれてきました。

被災地ツアーでの気づき

小笹:

セキュリテの東日本大震災被災地ツアーにも参加されていますね。

沖さん:

はい。ツアーで実際に訪問してみて、とても大変な目にあっているのに、前向きな事業者さんたちと出会いました。「こんな状態からでも、復活できるんだ」や、「こんなひどい目にあっているのにあきらめないでやるんだ」と、たくましく生きる姿勢を直視し、社会人として、とても勉強になりました。

それ以来、自分の中に引っかかるポイントがあれば、企業を応援していきたいということで、インパクト投資系の資産配分比率が高まってきました。ソーシャルビジネス系の本を読んで知った企業のファンドが、セキュリテで組成されると、うれしくて投資をしてしまいます。

写真3_4 ツアーに参加中の沖さん

被災地ツアーに話を戻しますと、まずは斉吉商店が、震災後、大きく変わったのが印象的でした。もともと投資する前に、斉吉商店の「さんまのたれ」が津波に流されたが見つかった新聞記事を読んでいました。それでファンドになったと聞いて、投資したのです。

ツアーで実際に訪問してみたら、とても前向きで、会社は、行くたびに、どんどん洗練されていきました。いい会社になっていきました。何回も通っているので、親戚のおじさんみたいな感じで、思い入れを持ってみていたのですが、若手の社員も成長しているし、息子さんや娘さんも責任ある仕事についていきました。

今の八女に引っ越す前、埼玉に住んでいたときは、斉吉商店が東京で出店した店に行ったりもしていました。震災をきっかけに斉吉商店は伸びました。そこに伴走できたのは、自分としても、とても勉強になりました。

一方、同じツアーで、「先頭走っている会社は、前向きにやっているけれども、実際には、そういう会社だけじゃなくて苦労しているところもあるよ」と教えてくれた会社もありました。

「光と影」というと大げさですが、ものすごく前向きに走り続ける会社と、そこまで行けずに、もがいている会社の両方を見ました。これも、投資を通じたツアーで知ることができたのが大きかったです。いろんなところがつながっているんだなあと思いました。

セキュリテ被災地応援ファンドツアー「425祭 2018」

情報発信している会社には、旦那道

小笹:

震災といえば、宮城県に本社がある塗料メーカー、KFアテインには、ファンドだけでなく会社の株にも出資していると聞いています。どんな経緯なんでしょうか。

沖さん:

KFアテインを知ったのは、セキュリテを通じてです。幼い頃、雪がある地域(北海道)に暮らしていたので、除雪がとても大切だということは身に染みて感じていました。KFアテインの塗料を使うと、雪が滑ってくっつかないので、除雪車の効率が良くなるのを知って、何とか応援したいなあと思い、ファンドに投資したんです。

その後、KFアテインの経営が難しくなっていく中で、「違う方法も模索しています」という投稿があったので問い合わせをしたら、増資を考えていることがわかりました。それで増資に応じたのです。少額でしたが、応援させてもらいました。

写真3_5
最強錆止「雪王」「鉄王」新事業ファンド

小笹:

セキュリテへの出資の仕方で、ファンドを小口で買うものと、ある程度大口で買うもの、そして、出資先の株式まで買ってしまうものとの違いとは、どこにあるんでしょうか?

沖さん:

小口でいいと思うのは、プロジェクトとして面白そうなので、ちょっと応援してみたいというものです。

次に、大口ですが、ソーシャルインパクトを求めるようなファンドですとか、海外に投資する「LIPミャンマーMJI貧困削減ファンド」や「Abacoペルーの生産者事業拡大ファンド」などは多めに出しました。そういうユニークなファンドに投資できる機会というのは、中々ないですからね。僕も出せるお金に余裕が出てきたので、出せるときは出そうという気持ちです。

写真3_6

小笹:

まさに旦那道ですね。KFアテインで会社の株の投資にまで踏み込めたのは、なぜですか?

沖さん:

経過をきっちりとホームページで報告してくれると、読んでいるうちに、こっちも何とかしてあげたいという気持ちになってきますよね。KFアテインの場合は、こちらが手を差し伸べられそうなときに、向こうが状況を知らせてくれたことが大きいでしょう。「増資を検討しているのであれば、購入を考えたい」ということになりました。

マメに報告してくれている事業会社に対しては、こちらも思い入れが深まっていくのです。

小笹:

ブログで公開されているポートフォリオを見ると約30%がインパクト投資ですね?

沖さん:

30%といっても内訳は、未上場の株が多いです。KFアテインもそうですし、鎌倉投信、eumoの株も持っていて、それらはリターンというよりも応援、理念に共感したものです。

セキュリテは今3%位です。ほかは個別株が10%で、あとは、投資信託が60%です。

沖さんのポートフォリオ(イメージ)

グラフ

小笹:

最初の方のご発言で、もともとは資産を増やしたい思いがあったということですが、最早、沖さんには、資産を増やしたい意欲はないんでしょうか。

沖さん:

もちろんありますが、段々、資産が増えてくると ある程度以上、増やしてもしょうがないという気持ちにもなってきました。 それよりは、せっかく増やしたお金は有効活用したいという気持ちが強くなっていて 「インパクト投資で使った方がいいかなあ」と考えています。 寄付だとなくなってしまいますが、投資だと戻ってくる可能性があるので、 「寄付よりもインパクト投資に使うほうが持続的でいいなあ」と思います。

小笹:

今、45歳ということですが、インパクト投資への傾斜には、年齢の影響もあるでしょうか?

沖さん:

やっぱりそうですね。若い頃は、知っている世界が狭いので、 お金を増やすことが大事でしたが、いろんなことを知っていくうちに「セキュリテでファンドが組成された会社を応援するほうが、おカネを増やすよりも楽しいし、いいなあ」という風に、世界観が段々と変わっていきました。

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悪くても良くても償還率は気にしない

小笹:

元本が毀損したり、経済的リターンがマイナスだったファンドもありましたか?

沖さん:

あります、あります。しかし、出すときに「元本が戻ってこなくてもしょうがない」と割り切っていますので、「うまくいかなかったら残念だな」と思うくらいで、失った金額について考えることはないです。

元本を割り込んだ事例でいえば、「極寒完熟マンゴー 摩周湖の夕日ファンド」は、北海道の出身地から近いので、応援しました。地元が近いファンドは応援したくなりますよね。地元の温泉でマンゴーを育てるというのですごいなあと思いましたが、結局、12%位しか返ってきませんでした。

一方、元本が毀損した事例ではなくて、元本が大きく増えたケースもあります。カンボジアのファンド「カンボジアONE」は、為替の影響があって、償還率が120%を超えました。それも増えたことがうれしいというより、おカネが活用されて返ってきたことがうれしかったんです。悪くても良くても経済的リターンには、そんなにこだわってないです。

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カンボジアONE

セキュリテはインパクト投資唯一の手段

小笹:

一つ一つのファンドに、思い出がつまっていらっしゃるのですね。

沖さん:

セキュリテは、インパクト投資を、本来の意味でできる、日本で唯一の手段だと思っています。似たものは出てきましたが、インパクト投資の本質を突いているのは、セキュリテだけじゃないかなと思っています。SDGsという言葉が身近になってきたので、一般の方も、SDGsの延長線上で、セキュリテに参加してきてほしいと思います。

小笹:

セキュリテに投資してくださる方には、沖さんのように、事業者さんと様々な交流をしていく投資スタイルをおすすめしますか?

沖さん:

投資する側の心の持ち方ひとつだと思うんです。投資家として距離感を持ってしまうと、ただの投資家で終わってしまいます。しかし、セキュリテが扱う企業は、上場企業みたいに大きくなくて、社員の顔がわかる規模の会社です。何らかの機会に訪問してみると、 先方もうれしいだろうし、こちらも、おカネを出した甲斐があったなあという気になれます。

つまり、一度訪問するだけで、おカネを出した満足感に満ち溢れ、経済的リターンについては、あまり気にならなくなります。そういうことをするうちに、いろんなことが勉強にもなります。ビジネス書を読んで勉強するよりは、実際に、働いている人に話を聞くほうが 勉強になりますよ。企業訪問が投資の主目的になる必要はありませんが、そういう投資が馴染む方もいらっしゃると思います。自分はIKEUCHI ORGANICが好きすぎて、いつか入社したいとタオルソムリエの資格を取ってしまったほどですが、働きたくなる会社に出会うきっかけにもなるんじゃないでしょうか。

写真3_10 肌に優しく環境にも優しいIKEUCHI ORGANICのタオル

小笹:

沖さんにとって、セキュリテとは?

沖さん:

日本全国の知らなかった会社を知る機会でもあるし、それを通じて、自分の進む道を学ばせてもらえる場所でもあるなあと思います。

セキュリテを通じて出会い転職することができたトビムシの八女で今、働いていること自体、セキュリテなくして考えられない人生です。

実際、今、トビムシのビジネスを進める場合にも、多くの企業訪問で学んだことを 反すうしながら進めています。セキュリテは、ベンチャー企業で起こりそうなことを教えてくれたし、あきらめてはいけないという不屈の精神を学ばせてもらった投資の場ですね。

小笹:

学校のような存在ですか?

沖さん:

そうですね、授業料払ってお金が返ってくる学校ですね、ハハハ。

注)
ブレンド・ファイナンスとは
一般的に、投融資に加え、寄付金・公的機関等の補助金や助成金・国際金融機関からの調達コストの低い資金も併用する資金調達の手法をいいます。当社では、個人からの共感に基づく出資やインパクト投資も組み合わせることで、社会的課題解決に貢献する事業に対して必要な資金を提供することが可能になると考えています。(ミュージックセキュリティーズ株式会社 セキュリテ事業部)

インパクト投資とは
経済的なリターンを求めるだけではなく、それぞれの地域で抱える課題や貧困や環境などの社会的な課題に対して皆様からの出資を通じて解決しようとする、経済的な価値と社会的な価値の両方を追求する新しい投資の仕組みです。


小笹俊一
インタビュアー

ミュージックセキュリティーズ株式会社 広報部 小笹俊一

1968年東京生まれ。上智大学外国語学部卒。1992年NHK(日本放送協会)入局、アナウンサーとして大分、東京で勤務。2000年ブルームバーグニュース入社。2016年よりスパークス、セゾン投信とファンド会社を経験し2020年11月に当社入社。

【ご留意事項】
当社が取り扱うファンドには、所定の取扱手数料(別途金融機関へのお振込手数料が必要となる場合があります。)がかかるほか、出資金の元本が割れる等のリスクがあります。
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