コメの作り手が蔵元と自家栽培米を醸して造る日本酒プロジェクトニュース

2019年2月24日 22:50

蒸米、放冷、そして麹造りへ

前回、精米歩合88%と精米歩合44%の比較を見て頂きました。
今回はその次の工程、蒸米と放冷、そして麹造りの工程です。(2/9~11の酒造りに参加した体験談も含みます)

さて毎日の食卓をイメージしてみてください。いつもご飯として食べているお米は「炊いて」います。
しかし日本酒製造において使うお米は「蒸して」います。この蒸す作業のことを蒸きょう(じょうきょう)と言います。

なぜ蒸すのか。それは後の麹造りの工程でご説明しますが、日本酒製造には無駄な工程が一切無いなと改めて感じます。

蒸きょうには、大型のせいろが使用されます。中華料理屋で出てくる小籠包を入れて出てくるせいろ、あれの100倍か200倍か・・。
とにかく巨大なせいろで一気に大量の酒米を蒸します。
蒸しの時間は1時間ほどですが、蒸し上がった酒米は、外はパラパラ、中はもっちりとしたお米に仕上がります。これを手に取り、捻り餅を掌で造るなどして都度状態を確かめられてから次の工程へと移ります。

巨大せいろからは麹室に向かって少しの間コンベアで酒米が流れていき、放冷という工程を経ます。
コンベアの下から風が吹いている、いや空気が吸い込まれている。そうなんです、風を当てて酒米を冷ますのではなく、酒米の熱を吸い取るイメージでコンベアから下に向かって空気が流れているのです。なるほど、風を当てると米は飛散してしまうが吸えばコンベアに張り付き、安定してコンベアの上を移動できるということなんですね。やはり見て、聞いて、体験すると一段と納得感が違います。

蒸した酒米は麹室に移動し、麹造りという工程に入ります。
先程触れた、なぜ日本酒造りでは米を蒸すのかという話に戻りますが、それはこの麹造りのための重要な準備のひとつなのです。
麹菌は米のデンプンを糖に変える働きをする微生物ですが、その為には米と麹菌を混ぜ、米の中に麹菌を入り込ませる必要があります。
事前に米を蒸して柔らかくすることで、麹菌が入り込みやすくしておくのです。(蒸すことで事前に米を殺菌するという効果もあるようです)

麹造りにおいて良い麹になるかどうか、日本酒の質を左右する非常に重要な工程になります。
(現在はデジタル化され、スマホやPCで効率的に常時管理が出来ますが、以前はその重要さゆえに蔵内に寝泊まりし、昼夜問わず麹室、麹米の温度管理をしていたそうです。)

機械化出来る所は機械化し、その分人の手で行う工程ではとことん時間と労力を注いで拘って、という日本酒製造の工夫を垣間見ました。



 
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